虫がテクノロジー界のプリンスとなりつつありますね!
日本文化と西洋文化では虫の扱いはかなり違います。日本ではバッタのヒーロー仮面ライダーがショッカーを蹴散らして少年たちの憧れを集める一方で、欧米では害虫として駆除の対象として見られることが多いです。
しかしこの度イスラエルの研究員たちはバッタからインスピレーションを得てロボットを作ったとのこと! 残念ながらバイクに乗って怪物と戦ったりはしませんが、災害救助において画期的なブレイクスルーになるかもしれません。
テルアビブ大学の研究チームが開発したのは13cmほどのバッタ風のロボット。重さはわずか30g足らず。そしてみなさんご察しの通りジャンプ力がすごいんです。垂直方向には3m、水平方向には1.4mの跳躍能力を持つというから驚き!
彼らのリサーチ結果はBioinspiration & Biomimetics誌に発表されました。ジャンプ力だけでなく動きも迅速なようで、災害救助や遭難した人の探索において人間だとたどり着けない狭い場所や不安定な場所に飛んで入っていくことができるわけですね。
小型ロボットはコストと製作にかかる時間という面から多くのエンジニアにとって関心の的になっています。こちらのバッタ・ロボットのボディはABSプラスティックを3Dプリンターでプリントアウトしたもの。ABSプラスティックはレゴ・ブロックで使われている素材と同じです。ロボットの脚の部分には炭素棒が用いられています。
バッテリーによって動くこのバッタ・ロボット、ジャンプの仕方もバッタから習っているようです。まずバネのついた脚を曲げてエネルギーを貯め、バネを解放した勢いでジャンプするそうです。ちょうど本物のバッタが地面を蹴って宙へ飛ぶのと同じですね。
ロボットの開発をするエンジニアたちにとって動物の世界は実はデザインの宝庫。アメリカのDARPAが開発をしていた犬型ロボットBig Dogが走り回るのは見たことがあるのではないでしょうか。ペンシルバニア大学ではタカのように物を掴む爪を持ち、ハチのようなAIを持って群れて移動することができる無人航空機が開発されています。
「厳しい環境での移動という課題に対して自然界が出した解決策の1つがジャンプなんです」とテルアビブ大学の論文は述べています。
大量のバッタ・ロボットが被災地に放たれて人命を救う...確かに効率がすごく良さそうです。特に建物が倒壊して人が生き埋めになってしまうような事態の場合は活躍が期待できます。早く実用化されると良いですね。
images by Tel Aviv University
source: Tel Aviv University via Gizmag
(塚本 紺)