2015年の訪日外国人数(推計値)は前年比47.1%増の1973万7400人となり、3年連続で過去最多を更新した。石井啓一国土交通相が19日の閣議後記者会見で、日本政府観光局のまとめとして発表した。
円安や訪日ビザ(査証)の発給要件緩和、国際航空路線拡充などを追い風に、中国などアジアを中心に訪日ブームが続き、1964年の統計開始以降、最大の伸びを記録。1000万人を突破した13年から2年でほぼ倍増し、政府が20年の目標として掲げる年間2000万人に迫った。
訪日客が日本滞在中に買い物や宿泊、飲食などに費やした消費額も3兆4771億円と、14年実績(2兆278億円)から7割増加し、過去最高となった。中国からの訪日客の消費が4割を占めた。
一方、15年の出国日本人数は前年比4.1%減の1621万2100人となり、1970年以来45年ぶりに訪日客数を下回った。
15年の訪日客数を主な国・地域別にみると、首位の中国が前年比2.1倍の499万3800人。以下、韓国が45.3%増の400万2100人、台湾が29.9%増の367万7100人、香港が64.6%増の152万4300人、米国が15.9%増の103万3200人と続いた。
石井国交相は会見で「訪日客の急激な増加により、課題も見えてきた」と指摘。東京や大阪、京都で深刻化する宿泊施設不足の解消などに向け、政府の検討を急ぐ考えを示した。中国経済の減速について「客数に影響が及ぶか注視する必要がある」と語った。