現代イタリア映画界の巨匠で脚本家のエットレ・スコーラ監督が1月19日(現地時間)、ローマの病院で死去したことがわかった。84歳だった。
1931年生まれのスコーラ監督は、16歳の時にフェデリコ・フェリーニが漫画を描いていた風刺雑誌「マルカウレリオ」に参画。その後、脚本家として映画界でのキャリアをスタートさせ、64年に「もしお許し願えれば女について話しましょう」で初メガホンをとった。「あんなに愛しあったのに」(74)をはじめとした第2次世界大戦後のイタリア社会をとらえた作品のほか、「マカロニ」(85)や「星降る夜のリストランテ」(98)といったヒューマンドラマで知られる。
さらにカンヌ映画祭の常連として知られ、76年の「醜い奴、汚い奴、悪い奴」が監督賞、80年「La Terrazza(原題)」が脚本賞を受賞。「ル・バル(1983)」では、ベルリン国際映画祭の銀熊賞(監督賞)に輝いた。名優マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンを主演に迎えた「特別な一日」(77)は、アカデミー賞外国語映画賞にノミネート。フェリーニ監督の没後20年を機に、その素顔に迫ったドキュメンタリードラマ「フェデリコという不思議な存在」(13/監督・脚本)が遺作となった。
英ガーディアン紙によれば、イタリアのマッテオ・レンツィ首相はTwitterで、スコーラ監督の死は「イタリア文化に大きな喪失をもたらす」と哀悼の意を表しているという。