肉体的には下り坂、精神的にも社会的立場が固まり、周りの目が気になる40男にとって、新たな挑戦をするのは簡単なことではない。秘めた夢を叶えるためのラストチャンスに挑んだ
◆青春18きっぷでひとり旅…電車を19時間乗り継いで1日で東京発・小倉着
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時間と体力のある若い頃しかできないことと言えば、鈍行列車のひとり旅。まだ気持ちだけは若いうちに一度くらいはやってみたい。さて、どこに行こうか……と考えていると、SNS上で「青春18きっぷなら東京から小倉(福岡県)まで1日で行ける」との情報を発見。調べると、所要時間19時間22分、距離約1108km、乗り換え13回だが、1日で行ける!
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なお鉄オタの友人いわく「時刻表が変わるたびに『青春18きっぷでどこまで行けるか』を調べる人は多いけど、実際にやる人は少ない」とのこと。ならばオレがと勇んで挑戦することにした。
まず東京駅4時42分の始発に乗るのが難関で、寝坊回避のため徹夜した時点でヘロヘロ。タクシーで東京駅に着き、「電車で寝よう」と思っていたが、それは甘かった。
というのも、この旅程では1回でも乗り換えに遅れると小倉まで到着できないため、怖くて熟睡は不可能。そして各駅での乗り換え時間は大半が1~4分と短いのだ。しかも小田原駅では、乗り換え先の電車が短い車両編成で、ホームの端からダッシュするハメに。4分の乗り換え時間がある熱海駅でも、ホームまでが大混雑で、間一髪で電車に飛び乗る状況だった。
また、特に食料も準備していなかったため、午前は空腹で死亡寸前に。豊橋駅でやっと食事を購入できたが、ロングシートの在来線車内で食べることになるため駅弁は買う勇気がなく、やむなくおにぎりに。そして大垣駅では、乗り換えでチンタラしていると席が埋まり、まさかの立ち移動となった。
本格的にツラくなったのは午後に入ってから。関西の都市圏を通過する琵琶湖線新快速は、一時通勤電車のように満員に。ロクに脚も伸ばせず疲労が溜まっていく……。
山陰本線に入ると電車は空いてきたが、別の問題が発生。暇つぶし用の2冊の本を読み終えてしまい、スマホとiPadの充電も残りわずかに。疲労困憊&やること皆無の地獄がここから始まった。
また、この旅で最長の31分の乗り換え時間があった糸崎駅は、駅構内に売店がゼロ。外に出てもあるのはコンビニのみで、コーヒーを飲んで、雑誌を買うのが限界。
そして終盤にして最長の181分の乗車時間だった岩国発・下関行きでは、まずスマホとiPadがダウン。さらに新幹線との接続待ちで遅延まで発生。体は疲労、頭は絶望。もうこの挑戦も終了か……と思った。
が、最後の下関発小倉行きは終電だったためか、接続を待機してくれていて乗り換えに成功! 無事、小倉駅に到着した。そして街行くギャルに「写真を撮ってもらえませんか?」とド深夜に声を掛けて怪しまれつつ、記念撮影をして全行程を終えた。
達成感に浸っていると、鉄道ライターからのアドバイスが届き、
「ケツが死ぬので座布団は必須」とのこと。先に言えよ! また、「アラフォーなら若者のような“安く遠くまで行く”貧乏旅はせず、途中下車も予定変更も思いのままの“自由へのきっぷ”として青春18きっぷを使うべき。ときには新幹線や特急で“ワープ”するのもアリ」とのことだった。
40歳を前に、回り道しても若かった頃の心を取り戻したくて、この旅に出たんだ……!と熱くなったが、翌朝にはその思いも忘れ、飛行機で東京へと帰還。不惑を前に、「時間はカネで買える」が真実であると悟ったのだった。
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― 40男が[秘めた夢]に挑戦してみた ―