神奈川県が作った「かながわ女性の活躍応援団」のポスターが、男性しか登場していないことに、ネットで疑問が続出しています。神奈川県は「拡散は予想外」としながらも、「あえてやったのだが…」と困惑しています。ポスターの狙いを聞きました。
【画像】全員おじさんの「かながわ女性の活躍応援団」 全企業の行動宣言
「おっさんしかいない」ツイッターで炎上
ポスターは黒岩祐治・神奈川県知事を団長に、団員も「日産」のカルロス・ゴーン社長や「資生堂」の魚谷正彦社長など同県と関わりの深い主要10社のトップと豪華ですが、全員男性です。「女性が、どんどん主役になる」というコピーの下に意気込みを示す男性11人が並ぶPR写真に対し、ツイッター上では「おっさんしかいない」「悪い冗談としか……」など疑問が相次いでいます。
ツイッター上での反響について、組織を運営する神奈川県立かながわ男女共同参画センターは「写真に対してそうした意見を持つ人がいるのは知っているが、その意見が拡散しているのは予想外」。写真が全員男性なことについては、「そもそも、応援団のコンセプトが団員を男性としているから」と応援団の基本方針だと説明します。
「あえて男性」伝わらず……
「応援団」は、出産や子育てをきっかけに離職する女性の割合を減らし、性別に関係なく個性と能力を発揮できる社会を実現するために結成されました。昨年11月の結団式は各トップがそれぞれ行動宣言を発表。
ゴーン社長は「17年までに女性の管理職比率10%(グローバルで14%)を目指す」。京急電鉄の原田一之社長は「総合職採用で女性比率を毎年30%以上」などと表明し、応援団のサイトから10社の目標が見られるようになっています。
団員を男性トップの企業のみとしている理由について、「男性リーダーによる男性リーダーの意識変革が狙い」とセンター。県内企業の社長などにはまだ男性が多いことを挙げ、女性が活躍できる職場を作るにはすでに意識が変わっている企業の男性トップからの働きかけが重要としています。
「応援団」の広報パンフレットは、颯爽と駆け出す女性を表紙に、団員10社と神奈川県庁で働く女性の姿を紹介する内容。センターは「あえて『男性だけ』の団員にしたコンセプトが伝わりにくいという問題意識はある」と認め、「今後は、誤解のないように伝えるようにしていきたい」と話しました。
「男性のみ」の方針は維持
センターによると、当面は大企業を基本に団員の拡大を図り、各社が自社の取り組みを「行動宣言」として発信することによって、女性の活躍を応援するムーブメントを社会全体で作っていくことを目標にしています。
1月20日には黒岩知事をコーディネーターにしたシンポジウムも開き、活動が本格化した矢先のツイッター上での反応。センターは「男性リーダーが中心になって、ムーブメントを起こそうとする取り組みは海外でも行われている。企業からも『勇気づけられた』などの意見があるので、基本方針はぶれずにやっていきたい」と話しました。
大企業は4月から女性活用に数値目標
2012年の総務省調査によると、全国の30~34歳の女性の有業率68・2%に対し、神奈川県は60・8%。25~29歳の74%から、一気に約13ポイント落ち込みます。35~39歳も61・5%で、全国平均より5・6ポイント低く、全国平均では40代で70%に上昇するのに対し、県内は40代でも60%台にとどまっています。
4月に施行される女性活躍推進法は大企業を中心に、女性の管理職比率や採用比率の数値目標を含む「行動計画」づくりなどを義務づけています。