伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は1月22日、米国のソフトウェア企業であるOSIsoftと販売代理店契約を締結し、設備や機器に取り付けたセンサーからリアルタイムでデータを収集・保存し、管理・分析を行うオンプレミス型ソフトウェア「PI System(パイ・システム)」の提供を開始した。
すでにCTCは2011年からPI Systemを使用し、風力や太陽光発電、系統電力を含めたエネルギーの利用を総合的に管理するIoTクラウドプラットフォーム「E-PLSM(エプリズム)」を提供しており、蓄積したノウハウに基づいてPI System導入から運用までをトータルに支援する。
2016年4月からの電力小売全面自由化に伴い、電力会社、ガス会社、製造業を中心に提供し、E-PLSMと合わせて3年間で10億円の売り上げを目指す。近年、地球温暖化への対策として再生可能エネルギーの利用が普及しているが、気象条件で出力が大きく変動するため、安定した電力の需給調整が技術的な課題とされている。
海外では発電所の老朽化に伴う計画外停止が問題になっており、リスクを軽減するために予防保全という考え方が浸透しつつある。そのような中、IoT技術はさまざまな設備や機器に対してセンサーを設置し、データの収集・分析から変動に合わせたリアルタイムな対策を実現できるものとして活用が期待されている。
PI Systemは、発電所内の電力計や監視制御システム、そのほかの設備・機器などに取り付けたセンサーごとに、過去・現在に未来の予測値を加えた時系列データを収集・蓄積して運用状況を可視化するソフトウェア。設備・機器と接続できるインタフェースは標準で450種類以上ある。
大容量かつ高速データ処理に最適な独自の時系列データベースが特長で、さまざまなデータソースから収集した生データをリアルタイムで処理する。膨大な過去データの保管ができ、素早い検索・呼び出し、可視化、分析を可能とし、米国では国内の全発電量475GWのうち、約60%をPI Systemがモニタリングしている。
CTCでは、これまでに蓄積したシミュレーション技術を駆使して、再生可能エネルギーのコンサルティングサービスやシステム開発を行っている。E-PLSMは、事業者が必要としているエネルギー関連データを集中管理することで、発電施設や蓄電池、その他の設備・機器などを監視して可視化し、発電量や電力需要の予測まで統合的に行うクラウドサービスで、データに基づく傾向と対策を計画し、エネルギーの効率的な利用と最適な運用の実現を支援する。
また、PI Systemのほかに、複数拠点とのデータ連携やコスト効率など統合的なクラウドサービスを必要とするユーザーにはE-PLSMを提供することで、サービスの拡販を目指す。