社会人になりたての人は、基本的な話し方のスキルを身につける必要があります。
なかでも重要なのは、敬語のスキルです。
新入社員は誰でも、敬語を使わなければいけないということは知っています。「えっ、会社では敬語を使わないといけないんですか?」と言う人はいません。ですが、敬語だと思って使っている言葉が間違っていることが多いのです。
よくある間違いが、バイト敬語です。
「よろしかったでしょうか」「こちらが資料の方になります」など。本人は丁寧な言い方だと思って使っているけれど、日本語として間違っている敬語があります。このような、アルバイトで習ってしまった誤った敬語を、バイト敬語と呼びます。
バイト敬語以外で間違って覚えている人が多い敬語には、二重敬語があります。「お越しになられる」といったものです。これらは、避けたいものです。
大学で学生と話していると、学生がよく間違っているのは、「れる」「られる」を付ければすべて敬語になると思っていることです。たとえば、彼らは「先生、今日の午後は研究室におられますか?」と言うのです。「いらっしゃいますか」という言い方を知らないようです。
言い換えを学ぶのが面倒なので、すべて「れる」「られる」で済ませてしまおうとするのかもしれません。
学生のうちは「れる」「られる」を付けるだけでも通用するかもしれませんが、社会人になったなら、敬語の言い換えを学んでください。言い換えができるだけで、きちんと敬語は話せる人だと思ってもらえます。
では、どのように敬語を学べばいいかというと、ロールモデルを見つけてマネすることです。
ロールモデルは、同じ職場の先輩や、課長や部長でもいいでしょう。
日本語の勉強と思うと嫌になってしまうかもしれませんが、職場でよく使う言葉をマネして覚えるだけなら難しくないはずです。敬語は英語のように、「敬語」という別の言葉を習得するつもりで聞いて覚えること。
正しい話し方をなるべく早く身につけるには、同行させてもらえるものは全部同行させてもらって、観察することです。
アポを取るときはこういう言い方をするのか、とか、商談のときはこいのような言い方をするのか、とか、英会話と同じように慣れていくことです。
× よろしかったでしょうか → ○ よろしいでしょうか
× こちらが資料の方になります → ○ こちらが資料です
× おられますか? → ○ いらっしゃいますか
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[きちんと会話のルール]敬語は、英会話と同じように慣れることが大切----------
※本記事は書籍『「きちんとしている」と言われる「話し方」の教科書』(矢野 香著・プレジデント社)からの抜粋です。