あなたにも「すべらない話」ができる!?千原ジュニアに学ぶトーク術 | ニコニコニュース

まさに話芸のスペシャリスト
nanapi

「トークの自信があります!」と言い切れる人はなかなかいないでしょう。人と話すのが好きな人であっても、決して話がうまく出来たり、人を笑わせることができたりするというわけではありません。そんなトークをする上で、参考にしたいのが千原ジュニアさんです。千原さんといえば、バラエティ番組『人志松本のすべらない話』でもその実力はお墨付きです。これまでにすべらない話のMVPに当たるMVSという賞を3回も取っています。紹介では「話芸のスペシャリスト」とのキャッチフレーズがつくほどトークに長けている芸人なんです。そんな千原ジュニアのトーク術はぜひ真似したいところです。面白い話だとしても、話し方でその面白さは変わってしまいます。せっかく面白いできごとがあったら、素材を生かして面白く話したいですよね。記事では、そんな面白いトークの参考にするためにも、千原ジュニアさんのトーク術についてご紹介していきます。

■ 千原ジュニアの代表作「亀のクラッシュ」を例に考えてみる

千原ジュニアさんのトークの代表的なものとして、「亀のクラッシュ」が挙げられます。この話は、ディズニーシーのアトラクション「タートル・トーク」での体験を話したものでMVSに輝きました。「タートル・トーク」は『ファインディング・ニモ』のキャラクターであるウミガメのクラッシュが会場を巻き込んで話をするアトラクションです。話の中では「爆笑王クラッシュ」と千原ジュニアの対決が面白おかしく話されています。千原ジュニアさんがロケで行った「タートル・トーク」で笑いを持って行かれた悔しさから、リベンジのためプライベートで行った時の話をうまくまとめています。

◎話の構成

この話は前半のロケでの話と後半のプライベートの話の2つに分けられます。前半では「クラッシュの凄さ」を、後半では「千原ジュニアの挑戦」について話しています。ここで重要なのは、どちらの話も面白い話として成立していて後半を話すとより面白くなるという点です。前半ではクラッシュの受け答えやアトラクションの雰囲気を伝えることで、聞いている人が後半の話を想像しやすくしています。前半だけでも面白く、飽きずに聞いていることができます。後半の話がなければ面白いカメの話で終わりますが、そこで自分がどうしたのかということがオリジナリティとなり、話のオチとしてうまく成立しているのです。千原さんの話はこのような前半と後半に分けて構成されている話が多くあります。

◎千原ジュニアらしい言い回し

千原さんの話始めは「○○してたんです」という言い回しから入ることが多いです。まずは、どんなことをしていたのかという状況の整理から始めて行きます。タートル・トークの場合は、最初にタートル・トークがどんなアトラクションなのかをわかりやすく話しています。最初に状況を説明するのは一般的ですが、ここの状況説明を簡潔にわかりやすく言えるのが話のうまいポイントでもあります。また、クラッシュの面白さや凄さを表す印象づけるために、「爆笑王」という言い方を使っています。この表現が、千原ジュニアさんのトークのポイントです。多くの人がわかりやすい「あだ名」をうまく使っています。そのため、クラッシュがどんなキャラクターなのかということをうまく説明しながら、面白さと凄さを引き立てることができているのです。単語の言い回し一つで面白さは変わってくるようです。

◎キャラクターの声の使い分け

千原さんの話のポイントに、会話のリアリティある再現が挙げられます。亀の話では、クラッシュの独特な声や小さい女の子の声をうまく使い分けて会話を再現しています。また、千原さん自身が思ったことを話すときも感情を込めてセリフのように言っています。そのような感情の起伏をわかりやすく表現することで、話の内容に深みが増します。話の中の登場人物の豊かな感情を声を使って表すことで、聞き手が話に入りやすいように意識しているのです。

◎題材の選び方

この話は千原ジュニアさん自身が経験した話です。そもそもの設定が芸能人でなければできないような経験ですが、その中でもわかりやすい題材をうまく選んでいるといえます。ディズニーシーのアトラクションというわかりやすさや多くの人が共感できる題材であるというのがポイントの一つでしょう。ロケで行ったアトラクションにリベンジでもう一回行くという挑戦も、千原ジュニアさんでなければしていないでしょう。そういった面白い話の題材を作る生活をすることも、千原ジュニアさんの話の面白さの秘訣かもしれません。面白い話をするために、日常の中で面白い経験をしようと意識している部分もあるのかもしれません。

◎絶妙な間を使って話す

千原ジュニアさん話の中には少し長いとも感じてしまうような間があります。会話の間にうまく挟むことで、聞き手はその後の展開を考えながら聞きます。しばしば「笑いは裏切り」と言われますが、このような相手に考えさせる絶妙な間を作り、相手がそこで考えたことを裏切ることで面白い話が生まれていくのです。もちろん間は適切な場面で使わなければ有効ではありませんが、千原ジュニアさんは話の展開をうまく想像させながら、会話に引き込んでいく上手さがあります。

◎オチになる決めゼリフ

「カメに助けられたんですよ」という最後のセリフがこの話の中で一番盛り上がるところです。全体の話を総合して、一番最後にこのようなセリフを用いることでオチとしても面白く、話が締まります。ただ言えばいいのではなく、わかりやすいセンスのいいセリフを言えるからこそ最後まで「面白い話」で終わることができます。この話では「クラッシュに助けられたんです」では面白くはありません。トークの中ではさんざん「クラッシュ」と言い続けた最後で「カメ」という表現である点が重要です。「カメを助ける」話は有名な浦島太郎があり、多くの聞き手の中にはなんとなく「カメを助ける」という考えが無意識にあります。ここで真逆の「カメに助けられる」と表現することでも裏切りが出来上がっているのです。「この話は浦島太郎とは逆のカメに助けられる話でした」という意味合いが「カメに助けられたんですよ」という一言には集約されているのです。千原ジュニアさんの他の話を聞いても、一番最後には締めのセリフを言っています。『すべらない話』のDVDポスターにこのセリフが使われた千原ジュニアさんはラジオ番組で「悪意がある」と苦言を呈しました。

■ 千原ジュニアから学べるトーク術

◎聞き手が想像しやすく話す

千原ジュニアさんのトークの面白さは、なんといっても話の想像しやすさにあります。話の中の会話のリアリティや状況説明の簡潔さなど、聞き手が話を聞いて想像しやすいように話していきます。話の中で会話を一人で再現するときには、会話をする声のトーンを変えながら話してみるといいかもしれません。出来る限りその状況を再現することで、自分の話に聞き入ってもらえるかもしれません。また、話の中の間を意識しましょう。その話のポイントとなるセリフなどを話す際には、セリフの前に溜めをつくって言ってみると、相手がセリフを想像してから裏切りができ、面白い話にできるかもしれません。相手の気持ちを考えて、どうしたらわかりやすいのかと考えながら話すことが重要です。

◎前半後半で面白い話を組み合わせる

千原ジュニアさんの話の上手さはここにあります。時系列の異なる別の話を入れたうえで面白く話すことができるのです。中でも「木村拓哉と板尾創路」の話はうまく構成されています。ここでは前半と後半がうまくつながっていて、前半も面白い話ですがオチがある話ではありません。そこに一部が似た話を入れることで面白い話を作りこんでいるのです。千原ジュニアさんの話には、前半に伏線を張っておき後半でその伏線を踏まえたオチで終わるので、面白い話にもなるのです。ただ1つの面白い話をするのではなく、複数の話を組み合わせて伏線を張るとオチで話がきれいにまとまります。

■ 「話芸のスペシャリスト」千原ジュニアから学べることはいっぱい!

千原ジュニアさんの話にはなぜか引き込まれてしまいます。面白い話を面白く話すのは、芸人としてとても大切な能力です。芸人じゃなくても、話がうまいことは様々な場面でプラスになります。誰もいきなり千原ジュニアさんのように面白く話せるわけではありませんが、面白く話せるようになりたいと研究することは大切なことです。自分の話をうまく話せるように、千原ジュニアさんから学んで工夫してみてはいかがでしょうか。

(著&編集:nanapi編集部)