『美味しんぼ』(小学館)、『北斗の拳』『DEATH NOTE』(共に集英社)といったヒット作に共通するのは、作画とは別にストーリーを考える“原作者がいること”。いわゆるマンガ原作者だが、21日放送の『ヨソで言わんとい亭~ココだけの話が聞ける(秘)料亭~』(テレビ東京系)では、『ザ・シェフ』(日本文芸社)などで知られるマンガ原作者・剣名舞氏が“マンガ原作者の儲けのからくり”を暴露した。
剣名氏いわく、マンガ原作者は「小説家より稼げる」のだとか。昨年、芥川賞を受賞したピース・又吉直樹の『火花』(文藝春秋)が200万部の大ヒットを記録したが、小説で100万の大台を超えるようなヒット作はごくわずか。しかし、「数百万部を超えるマンガは多数」と剣名氏は語る。たしかに、「オリコン 2015年 年間本ランキング」のコミック部門(作家別)を見てみると、推定売上部数1,410万超えの『ONE PIECE』(集英社)、1,030万超えの『七つの大罪』(講談社)など、マンガは小説とは比べ物にならない部数を売り上げている。
よって、「小説家よりもマンガ原作者のが稼げる」と語る剣名氏。番組でも紹介されていたが、改めてマンガの印税システムを紹介すると、単行本1冊につき10%(500円なら50円)の印税が入るというシステム。
作画と原作が分かれている場合は、一般的に折半(5%)となるのだが、過去に『テラフォーマーズ』(集英社)の原作者・貴家悠氏がテレビ番組で「作画の橘賢一のほうが多い」と語っており、作品や作家によって異なるケースもあるようだ。ちなみに、貴家氏と共演した『味いちもんめ』(小学館)の作画・倉田よしみ氏によると、マンガの印税は売上ではなく、印刷した部数が作家の元に入るのだとか。
剣名氏は、原作を担当した『ザ・シェフ』が3,500万部を売り上げたので、およそ7億円の印税を得たと推定できるが、剣名いわく「自分より印税をもらっているマンガ原作者はたくさんいる」とのこと。番組では、累計1億3,000万部の『美味しんぼ』は32億5,000万円、累計9,000万部の『金田一少年の事件簿』(小学館)は22億5,000万円、累計6,000万部の『北斗の拳』は15億円がマンガ原作者の元に入ったと紹介された。
ほかに、番組では紹介されなかったマンガ原作者付きの作品を見てみると、
・『DEATH NOTE』(作画:小畑健、原作:大場つぐみ/集英社)
累計発行部数 3,000万部/マンガ原作者の推定印税 約6億円
・『ヒカルの碁』(作画:小畑健、原作:ほったゆみ/集英社)
累計発行部数 2,500万部/マンガ原作者の推定印税 約5億円
・『地獄先生ぬ~べ~』(作画:岡野剛、原作:真倉翔/集英社)
累計発行部数 2,000万部/マンガ原作者の推定印税 約4億円
・『キャンディ・キャンディ』(作画:いがらしゆみこ、原作:水木杏子/講談社)
累計発行部数 1,200万部/マンガ原作者の推定印税 約2.4億円
(※編集部調べ)
という数字に。もちろん、これらはある程度ヒットしてこその数字だが、剣名氏の“小説家よりも稼げる”という発言は、あながち間違ってはいないことをうかがわせる。
ほかにも、剣名氏はマンガ原作者にもパチンコのキャラクター使用料が「1台あたり数千円×出荷台数」で入ることや、コンビニで売られている「廉価版コミック」は、エピソードを組み替えて何度も再販できる上、古い作品でも印税収入が見込めるということも語った。
そんなマンガ原作者、現在「TL(ティーンズラブ)マンガ」で需要が高まっているという。スマホの普及で、書店では購入できないという読者が電子版を購入するケースが増えているそうで、設定や話を考えるマンガ原作者のニーズが高まっているのだとか。
剣名氏は「マンガ原作者は誰でもなれる」と語っていたので、興味がある人は門を叩いてみてはいかがだろうか。