2016年1月30日より公開となる、モーガン・フリーマンとダイアン・キートンが夫婦役で初共演を果たす映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』のメガホンをとった、リチャード・ロンクレイン監督の単独インタビューがシネマズに到着した。
映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』は、ロサンゼルス・タイムズ紙から「ほとんど完璧な小説」と評されたジル・シメントのロングセラー小説「眺めのいい部屋売ります」を原作に描く、ニューヨークで1番ホットな場所と言われている、ブルックリンを舞台にしたハートフル・コメディ。『ジュリア・幽霊と遊ぶ女』や『リチャード三世』などで数々の映画賞を受賞しているリチャード・ロンクレイン監督が本作のメガホンをとった。
これは絶対映画化しないといけないと思った――本作では、大規模な警備体制をひかず撮影に臨まれたそうですね。トラブルなどありましか?
監督:
今回の撮影で大変だと思うことはありませんでした。できるものを臨機応変にその場でやったという感じでした。ニューヨーカーは撮影に慣れていますので気にしないんです。たださすがに、モーガンとダイアンという2人を見つけたら人がやって来るでしょうし、騒ぎになってはいけないと、2人のシーンは急いで撮りました。でもニューヨークは特異な場所で、他でできないことができます。
――監督はニューヨークでの撮影が初めてということですが、ブルックリンの街や人々の魅力はどんなところだと思いますか?
監督:
原作では主人公の2人はマンハッタンに住んでいて、ブルックリンを見ている感じの設定でしたが、映画では逆にブルックリンの窓からマンハッタンが見えるようにしたかったんです。また、原作ではトンネルが出てきますが、それも橋の方が景色として良いので、橋に変えました。
――本作の原作はロングセラーになっていますね。最初に原作を読んだ時の感想はいかがでしたか?
監督:
とても素敵な話だったので気に入りました。これは絶対映画化しないといけないとすぐに思いました。
――どのような経緯で映画化の話になり、監督を務めることになったのですか?
監督:
最初に友人がスクリプトを読んで、それから僕が読んでとても気に入ったんです。それですぐ「モーガン・フリーマンに僕が監督していいか、聞いていいかな?」と友人に話しました。そういうわけで僕が自分で監督をしたいと言って実現したのです。
――主演がとモーガン・フリーマンとダイアン・キートンに決まった時はどんな気持ちでしたか?
監督:
主演がモーガンに決まった時に僕はとても舞い上がりました。モーガンとダイアンも共演したことがなかったので、盛り上がっていました。彼らはお互いにファンだったので、本当に2人とできるということでエキサイティングな気持ちでしたし、私の夢もかないましたので申し分ないです。
――初共演となった2人への演出はどのように進められていきましたか?
演出に関しては、どの俳優であっても監督がどう扱うかと言えば、まずは正直さかと思います。誰に対してであっても。でも自分の確固たる意思は崩しません。結局演出は人とのつきあいですね。なんだかんだと言っても人とのつきあいになるので、人間が好きであることが大切です。私はモーガンもダイアンも好きだったので、“難題があった”とか“この2人だから難しい”ということも全くありませんでした。
――モーガン・フリーマンとダイアン・キートンが演じた、ルースとアレックスは原作ではユダヤ人夫婦の設定ですが、本作では白人と黒人に変更されています。なぜでしょうか?
監督:
原作は黒人のユダヤ人なので、もともと黒人ではありました。オリジナルの脚本では、すでにモーガンが主演で決まっていたので、モーガンとダイアンならばより複雑な関係性、キャラクターに深みをもたせることもできるし、面白い関係性が描けると思いました。映画としては、別に異人種カップルであるということが焦点ではないのです。
――撮影現場での2人のやりとりの様子はいかがでしたか?
監督:
2人ともお互いに気付いていたのが、ブロードウェイが大好きだということ。だから現場では椅子に座ってよくデュエットで歌ってハモっていました。2人とも歌うのがすごく好きらしくてテイクの途中でも2人で歌っていました。
――監督から見てモーガン・フリーマンはどのような俳優だと思いますか?
監督:
モーガンは世界で一番セクシーな声の持ち主です、男性女性問わずに。彼の声は本当に素晴らしいですね。また、彼の在り様をそのままスクリーンが伝えています。誰もモーガンのことを嫌いになれない。実際に会っても誰もが好きになるんです。俳優というのは現実に会うとスクリーンとは違う人がいますよね。モーガンに関して言うと、そういうことは無くて、まさに見た通りの人です。
――ダイアン・キートンに憧れる大人の女性は多いですが、素顔のダイアンはどのような人ですか?
監督:
とにかく彼女はとても知的な女性です。写真や建築が大好きで、そういう分野の本も書いていますね。実のところ意外にもシャイだけどおしゃべりなんです。1対1だと本当に楽しめる素敵な人です。彼女と一緒にいることを楽しめる知的な人です。
――ダイアン・キートンは恋多き女性としても知られています。男性はダイアンのどんなところに惹かれると思いますか?
監督:
若い時の彼女はとても快活な人でしたね。今までの彼女の恋愛関係では、きっと強い男性でなければ無理だと思いますね。彼女はタフな人だから。その強さも彼女の魅力だと思います。そこに男性は惹かれるのではないでしょうか。
――ドロシー役の犬は名優でしたね。動物ならではの演出の苦労やハプニング、主演2人とはどんな関係だったのか教えてください。
監督:
メス犬のドロシーを演じた犬は実はオスなんです。犬の演出は悪夢でした(笑)言ったことをやってくれませんからね。怖がるシーンの撮影とか寒がる撮影があったりして、おなかを出すシーンでは震えていたので、皆同情していました。モーガンもダイアンも動物が好きなので撮影はうまくいきました。とてもかわいくて忍耐強い犬でしたよ。
――監督にとって理想の家とはどのような物件でしょうか?
監督:
いま私はロンドンの新しいに住んでいます。それまではヴィクトリア調のテラスハウスに住んでいたのですが、引っ越そうということになって、いまはオフィスビルのような建物です。ニューヨークなんかによくある天井がむき出しになったような雰囲気の物件で、マンションですが、1フロアが300平方くらいあるので、広くて一軒の家のような感じです。自分で作ったので理想の家に近いですね。夢に見る理想の家としては、フランスの16世紀風の田舎家なんて良いなぁと思いますね。
――最後にこれから映画を観る日本の観客にメッセージをお願いします。
監督:
私はこの原作を知った時に、絶対に映画化しなければと思いました。年をとることは楽しいことでもあります。この映画は年を取ったら人生は終わるのみという気持ちには全然ならない、楽天的になれる映画です。結婚して良かった、これからの人生まだまだワクワクさせてくれることがあると思える映画です。若い人にとっては自分の親がどのように思っているかとか想像しながら観てもらえるのではないでしょうか。私としても文化の違ういろいろな国の方に映画を観ていただけるなんて、監督として素晴らしい経験です。日本の皆さんがどう観てくれるかとても楽しみにしています。
映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』は2016年1月30日より、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、109シネマズ二子玉川ほか全国順次公開。
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