日本経済新聞は22日、シャープが産業革新機構の再建案を採用することで大筋合意に達したと報じています。
産業革新機構の再建案では、シャープに3000億円規模の出資支援を行い、液晶事業を分社後、2018年までに筆頭株主となっているジャパンディスプレイ(JDI)と統合するとしています。また、家電事業においても再編する方向で、東芝の白物家電との統合が検討されることになります。
シャープの主要取引銀行2行も産業革新機構の提案を受け入れる方針で、優先株2000億円分の無償譲渡を含む最大3500億円の金融支援を実施するとのこと。優先株は債務から振り替えられていたもので、実質的な債権放棄となります。
シャープをめぐっては、主力の液晶事業を目的として台湾鴻海(ホンハイ)精密工業も買収を含む再建案を提示していました。
提案者 | シャープ再建案 | 目的 |
台湾鴻海(ホンハイ)精密工業 | 約6250億円での買収 全負債引き受け 首脳陣の継続 | 液晶事業の生産力強化 シェアの拡大 |
産業革新機構 | 3000億円規模の出資 液晶事業の分社、JDIへの統合視野 東芝白物家電事業の統合など | 日本勢としての液晶事業競争力強化 技術流出の阻止 電機業界の再編 |
ホンハイは経済条件を重視した再建を提案し、国益を重視する産業革新機構の再建案と真っ向から対立していました。今回同機構の案で大筋合意に至ったことで、技術の海外流出阻止や電機業界の再編、日本勢としての液晶事業の競争力強化が図られることになりそうです。
今後は、産業革新機構が今月末に委員会を開いて詳細を固め、主要取引行は2月中に金融支援を決める見込みとのことです。産業革新機構は、第三者割当増資などを得てシャープの過半数の株式を取得し、役員の派遣などを通して経営体制の刷新を図るものとみられます。家電事業では、スマート家電市場の拡大を見込み成長産業と位置づける一方で、収益改善のため成長の見込みが低い事業や生産設備の売却、リストラなどを進めることが予想されます。
昨年夏ごろから提案と検討が繰り返されてきたシャープ再建案ですが、官庁主導の形でようやく決着を迎えることができそうです。
[日本経済新聞]