米軍普天間飛行場移設問題が最大の争点となった沖縄県宜野湾市長選は24日投票、即日開票され、現職の佐喜真淳氏(51)が、新人で元県職員の志村恵一郎氏(63)を約5800票差で破って再選を果たした。市内から名護市辺野古への移設計画容認派が推し、自民、公明両党が全面支援した佐喜真氏が引き続き市政を担うことを踏まえ、政府は辺野古移設を加速させる方針だ。
安倍政権は同市長選を、夏の参院選の前哨戦と位置付けて臨んだ。選挙結果を受け、安倍晋三首相は自民党幹部に電話で「この勝利は大きい」と述べた。志村氏を支援した翁長雄志知事は、辺野古移設阻止を目指す考えは「変わらない」と記者団に表明、「これまでの姿勢を堅持しつつ、県政の重要課題としてやっていく」と強調した。
自公両党の地方組織の推薦を受けた佐喜真氏は、選挙戦で普天間飛行場の早期返還による危険性除去を唱える一方、辺野古移設の是非には言及を避けた。米軍基地の一部先行返還実現やディズニーリゾートの誘致計画に触れつつ、政府との信頼関係を強調。自身の再選が基地負担軽減や地域振興に寄与すると訴え、支持基盤を着実に固めた。
志村氏は、同飛行場の無条件の閉鎖・撤去と辺野古移設阻止を主張。翁長知事をはじめ、県政与党の共産、社民両党も総力戦を展開したが及ばなかった。
今回の市長選と同様、移設問題が焦点となった2014年の名護市長選や知事選、衆院選の全4選挙区では、移設反対派が連勝。政府・与党は、宜野湾市長選で佐喜真氏が敗れれば移設計画に打撃になると危機感を強めていた。安倍政権と翁長知事の「代理戦争」とも言われた宜野湾市長選勝利を政府は「民意」と受け止め、移設作業進展に全力を挙げる。
市長選は、佐喜真氏の任期満了に伴い実施。当日有権者数は7万3593人。投票率は68.72%で、前回を4.82ポイント上回った。