歌手で女優の土屋アンナさん(31)が主演舞台の稽古に参加せず、公演中止を余儀なくされたとして、舞台監督の甲斐智陽さんらが約3000万円の損害賠償などを土屋さん側に求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であり、原克也裁判長は請求を棄却した。甲斐さん側は控訴する方針。

 問題となったのは、2013年8月に上演予定だった舞台「誓い〜奇跡のシンガー」。常時介護が必要な障害者の女性の自伝を基にしていたが、土屋さんは台本の内容に女性の承諾が無いとして、途中から稽古への参加を見送っていた。

 甲斐さん側は「自伝は原案に過ぎず、女性の承諾は必要なかった」と主張したが、原裁判長は「承諾は必須だった」と指摘。その上で、「甲斐さん側の準備不足と権利関係のずさんな管理が原因で、土屋さん側との信頼関係が失われていた。適法に上演することは困難だった」と結論付けた。