1月30日より全国公開されるホラー映画『残穢』、そのスピンオフとなる『鬼談百景』の最初で最後の上映会&関連作品オールナイト上映イベントが1月23日に新宿で開催されました。今回はその模様をレポートします。
鬼談百景とは?原作の『鬼談百景』とは、『残穢』の主人公である作家の「私」が、ラジオの視聴者から「あなたの知っている怪談を教えてください」との募集から集めた99個の怪談が収録されています。
100本目の怪談が「残穢」であって2つの作品は微妙にリンクしてるのです。
日本の古来からの怪談形式として百物語というのがあります。怪談を披露して100本目の怪談を話し終えた後、本物の怪が現れるとか。ホラーで定評のある原作者の小野不由美さんならではの発想でしょう。
一冊に99話収録されてるだけあって一つ一つの怪談は3ー4ページで最短の怪談はたった数行で終わります。
その短編の中から、『残穢』を監督した中村義洋他、白石晃士、安里麻里、岩澤宏樹、大畑創、内藤瑛亮といったホラーには定評のある監督が実写化したものの集合が、今回の『鬼談百景』になります。
イベントのトークショーは大盛り上がり!今回『鬼談百景』の6名の監督をゲストにお呼びしてトークショーが開催されました。その後に『鬼談百景』の上映。更に、各監督の過去の作品から未公開の新作を上映しちゃおう(ホラーとは限りません)というのが今回のオールナイトイベントでした。
イベント当日は生憎の雪予報。しかもオールナイトイベント。ホラーばかりのオールナイトの人気度は未知数でしたが、結果として満席で立ち見もいっぱいの状態。これには来賓の監督たちも驚くと共にいたく感動していました。
紅一点である安里監督は
「こんな名のある監督さんと一緒で非常に緊張しています。是非明け方まで楽しんでいってください」
とおっしゃっていました。
挨拶のあとは、いったん着席してのトークショーのはじまり。
「早速ですが、この企画を聞いてどういうふうに感じたのか・・、大畑監督は既にビールを飲んでいますが(笑)それぞれお聞きしたいです。その前にビール監督さんに配って(笑)」
監督さんそれぞれにビールは事前に配られたようなのですが、持って会見に挑んだのは大畑監督だけだったようで、マイペースぶりがとても面白く、ここで一気に緊張から解かれた形となりました。
まず、『残穢』を完成させた後、『鬼談百景』を実写化するとの話があり、その企画はどうだろう、どこをゴールにすればいいのかもめたと中村監督は懸念していたそうです。
そこで「オールナイトで一回限りの上映にするのはどうだろう?」との企画を聞いて、それは面白い企画だとして今回のイベントにつながりました。他の監督さんのラインナップも聞いてかなり作成意欲が沸いたそうです。
そこから、まずは原作から『追い越し』を中村監督が選択。これをマストとして他の作品から、白石監督が1本、その他の4人の監督さんは2本ずつ選ぶことにしました。
白石監督
「今回担当した『密閉』を読んで、これならば原作を自分流にうまくアレンジできるな。作品の順番は聞かされていなかったが一連の締めくくりとなることを密かには感じて意識して作った。」
岩澤監督
「『空きチャンネル』は友達で似たような体験をしたことがあるとのエピソードを聞いていたので選びました。『どこの子』は自分なりのアレンジができて面白そうだなと。」
安里監督
「ホラーは撮り慣れてはいるが、オムニバスというのは久々だな。他の監督さんの名前を聞いてこの企画面白いと引き受けました。2本と聞いたときに、どうせやるならあえて差がつくように両極端になる作品を選んだ。」
大畑監督
「『赤い女』以前、話した内容がそのまま現実になるという物語をやっていたので。」
内藤監督
「他の監督の顔ぶれを聞いて、ヤッター!と思ってすぐに参加をOKした。この面子なら絶対に面白い作品になるはず。『どろぼう』は『先生を流産させる会』を撮っていたので妊娠に縁があるなと。普通のJホラーとは全然違う形に仕上げたかった。
『続きをしよう』は墓場で子どもたちが鬼ごっこをするという話で、実際での墓場での撮影は許可が難しそうだと心配していたが、スタッフの努力により何とか撮影場所が確保できた。墓が倒れるところは実際のお墓を倒していないのでそこは安心してください(笑)」
映画を見て倒れた女性が!トークショーが終わり、休憩の後に映画『鬼談百景』が始まりました。私は既に試写会で拝見をしているのでロビーで資料整理をしていました。
その時、驚くべきことが起こったのです。
劇場から出た女性が、いきなりバタッと倒れたのです。
幸いにも大事にはいたりませんでしたが、どうやら内藤監督の『続きをしよう』を見て具合が悪くなって一旦退出したそうです。もう午前1時を廻っていて体力的にも不安定な時間ですが、これほどまでに影響を起こすべき作品は是非観るべし。
その場にいた内藤監督自身も「この後、もっとショックな映像がくるから、あまり無理しないで。」と痛く心配していました。
確かに、監督が言うとおり内藤監督の『牛乳王子』は凄まじい作品でした。ホラー映画を楽しめる私でも気持ち悪くなるほど…。
以上、最初で最後の上映となった鬼談百景ですが、現在はYoutubeでご覧になれます
『残穢』を観る前にみたら怖さ、面白さ、倍増に違いありません。是非、ご覧になってください。
(取材・文:シネマズ編集部)