【マニラ時事】フィリピンを公式訪問中の天皇、皇后両陛下は27日夜、首都マニラのマラカニアン宮殿(大統領府)で、アキノ大統領主催の晩さん会に出席された。
天皇陛下はあいさつで、日本との国交正常化60周年に当たり、同国を54年ぶりに皇后さまと再訪したことを「深い喜びと感慨を覚えるものであります」と述べた。
その上で、太平洋戦争で多くの同国人が日米の戦闘に巻き込まれ犠牲になったことについて「私ども日本人が決して忘れてはならないことであり、この度の訪問においても、このことを深く心に置き、旅の日々を過ごすつもりでいます」と語った。
大統領は、日本から受けた経済援助などに触れ、日本語で「どうもありがとうございます」と話した。続けて、「こよい、あまねく平和を実現する敬愛の象徴たる両陛下にご臨席たまわったことを心から名誉に思うとともに、全出席者の総意でもあると申し添えます」と述べた。
晩さん会は2時間以上続き、予定の時間を大幅に超えた。
両陛下はこれに先立つ同日午前、宮殿での歓迎行事に臨み、大統領と会見。宮内庁によると、大統領がフィリピンでは自動車の需要が急増しており、日本の自動車の人気が高いと話すと、陛下は「両国の交流がますます盛んになっていることをうれしく思います」と答えた。
午後には、同国政府が設立した英雄墓地を訪れ、太平洋戦争などで命を落としたフィリピン人兵士らを祭る「無名戦士の墓」に花輪を供えた。同国側戦没者の慰霊は、両陛下の意向を受けて行われた。