1月30日に行われるサッカー日韓戦。ともにリオデジャネイロ五輪出場を決めた日本と韓国のU-23代表が、アジア最強の座を懸けて決勝戦を戦うが、決戦前から雲行きがあやしい。韓国U-23代表のエースであるファン・ヒチャンが「韓日戦は絶対負けられない。勝つだけだ。最近は慰安婦のおばあさんの話もたくさん出てくるし、歴史的な部分もある。最後の試合は無条件で勝たなければならない」と、政治的発言をしたのだ。
韓国の選手が、サッカーとはまったく関係ない政治を持ち出すのは今回が初めてではない。記憶に新しいところでは、2012年ロンドン五輪だろう。3位決定戦で日本と対決した韓国代表のMFパク・ジョンウが、日本を破った後に「独島(=竹島)は我が領土」とハングルで書かれたメッセージボードを持ってピッチを走った。決戦直前に、当時現職だったイ・ミョンバク前大統領が、韓国の歴代大統領としては初めて竹島を電撃訪問していたこともあって、日韓が非常にセンシティブな関係にあったことを考えると、明らかに日本を挑発する行為だった。
さらにいえば、1996年3月にマレーシアのクアラルンプールで行われたアトランタ五輪アジア最終予選でも、似たようなことが起きている。当時も、両国それぞれ五輪切符を手にした状態で決勝を戦うことになったが、韓国では単なる決勝戦とは捉えなかった。当時の韓国大統領だったキム・ヨンサムは「主権を守り、日本をしつけ直す」として、大々的な“独島は我が領土”キャンペーンを実施していたこともあって、韓国メディアは対決モードをあおった。前園真聖、中田英寿、城彰二らタレントを擁していたため日本有利としつつ、「京郷新聞」などは「韓国は、どんなことがあっても勝たなければならない。日本の“独島領有権”妄言に怒る国民感情を考慮すると、負けることは想像もできない」と報じた。しかも、試合会場のスタンドには、「独島は我が領土」と書かれた横断幕が多く見られ、韓国メディアは2-1で勝利した事実を「克日の勝利だ」と報道した。明らかに、韓国は何かをはき違えていた。
あれから20年の歳月が過ぎたが、韓国は何も変わっていない。竹島問題が、今度は慰安婦問題になった。ファン・ヒチャンの言葉はスポーツに政治問題を持ち出す、韓国の浅はかさを露呈しているといえなくもないだろう。
ちなみにこのファン・ヒチャン、オーストリアのレッドブル・ザルツブルクに所属しており、U-23日本代表の南野拓実とはチームメイト。本人によると、南野とは個人トレーニングを一緒にしたり、共に食事に出掛けることもある仲だという。今大会前には「決勝で会おう」と約束し合ったとか。ただ、2人はザルツブルク側の要請で決勝には出場せず、所属クラブに復帰することに。そんな中での、問題発言だった。
はたして久々のサッカー日韓戦は、どんな結末を見るのか? 勝っても負けても、韓国が政治的行為を働くことだけは許してはならない。