アメリカのロングセラー小説を映画化した「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」が1月30日公開する。結婚40周年を機に、新婚以来暮らすブルックリンのアパートメントからの引越しを計画する主人公の画家と妻の心の機微を軽やかに描いた作品だ。本作製作、主演のモーガン・フリーマン、妻役のダイアン・キートン、リチャード・ロンクレイン監督が作品を語った。
フリーマンは持ち込まれた映画化企画にほれ込み、空飛ぶヒーローではなく老夫婦の物語を作りたいと出資者を募った。「以前は若い観客が大半だったが今は必ずしもそうではない。団塊の世代が年を取ったからね。それはかなりの数だよ。年寄りが主役の小さな映画でも見る人はいる。ハリウッドもシニアの映画を見に来る新しい観客の存在に注目し始めたんだ」
ルース役を大ファンだったキートンにオファーし、円熟の夫婦愛を体現した。「昔から尊敬し、大好きだった人だ。僕の"やりたいことリスト"にも彼女との共演が入っていて、この映画の話が決まった時、リストを見て、この役にはダイアンがぴったりだと思ったんだ。最初から彼女と僕の相性はバッチリだった。そこから始まっていい関係はずっと続いたよ。僕自身も俳優だからずっと思っていた、"ダイアンと共演したい、彼女とダンスしたい"とね。今回やっとそれが叶ったわけなんだが、一緒に仕事してみたら実際思い描いていた通りだったよ。最高に楽しかった。それは最初から変わってないよ、2人が出会った頃からずっとね。彼女はこの映画にたくさんのものをもたらしてくれた」
キートンは、この映画のテーマについて「『あなたは何に価値を見出す?』といった人生の重要な主題を取り扱っていると思うの。この映画に出て良かったのは自分の生活を見つめ直せた事、不動産についても冷静になれたことね。アレックスとルースは夫婦の約束を守り病める時も健やかなる時も変わらずに愛し続けた。それはとても難しいことだし、誰にでもできることじゃないのよ。とても賞賛すべきことだと思うわ」
初共演となったモーガンについて、「彼は観客に勇気を与えてくれる。"自分だっていい人になれるんだ"とね。そういう資質を持っている人は滅多にいないのよ。そういう意味で彼は特別なの。彼には人を安心させる力があるから。『ショーシャンクの空に』でもそうだったように、今回も彼は、私たちの求める"善良な人"だった "彼がいれば大丈夫"そう思わせる何かがあるのよ」と絶賛した。
ルースとアレックスは原作ではユダヤ人夫婦の設定だったが、映画では白人と黒人に変更されている。ロンクレイン監督は「原作は黒人のユダヤ人なので、もともと黒人ではありました。オリジナルの脚本では、すでにモーガンが主演で決まっていたので、モーガンとダイアンならばより複雑な関係性、キャラクターに深みをもたせることもできるし、面白い関係性が描けると思いました。映画としては、別に異人種カップルであるということが焦点ではないのです」とその意図を語る。
そして最後に、「年をとることは楽しいことでもあります。この映画は年を取ったら人生は終わるのみという気持ちには全然ならない、楽天的になれる映画です。結婚して良かった、これからの人生まだまだワクワクさせてくれることがあると思える映画です。若い人にとっては自分の親がどのように思っているかとか想像しながら見てもらえるのではないでしょうか」とメッセージを寄せた。
「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」は、東京・シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、109シネマズ二子玉川ほか全国で1月30日から順次公開。