2月から3月にかけての確定申告の時期がいよいよ迫ってきた。ネットではマイナンバーと確定申告の関連性について、さまざまな疑問や憶測が飛び交っている。たとえば「今年から、確定申告は、税務署にマイナンバーを持参して、書面に記入しなければならない?」といった疑問が、ネットの掲示板に書き込まれていた。
マイナンバー制度の開始はこの1月からだが、今年申告するのは、制度が始まる前の昨年1年間分の会計だ。マイナンバーの記載が必要なのか、不要なのか、気になっている人もいるだろう。
今年の確定申告では、マイナンバーを考慮する必要はないのだろうか。マイナンバーの開始によって、確定申告はどこが変わることになるのか。三宅伸税理士に聞いた。
●今年3月提出期限の確定申告は「マイナンバー不要」「マイナンバーの利用は、今年の1月1日からですね。今年、実際にマイナンバーが必要な場面は税金や雇用保険、災害対策等の分野に限られています。健康保険や年金といった社会保障の分野での利用は、来年以降になります」
今年の確定申告でも必要なのだろうか。
「いいえ。疑問に思われるかもしれませんが、今年の3月15日が提出期限の確定申告書にはマイナンバーを記載する必要はありません。今回の確定申告は、昨年の所得に対する税金。つまり制度前の税金になりますね。ですから、マイナンバーの記載は不要なのです」
では、今年は、どんな場合にマイナンバーが必要になるのだろうか。
「1月1日以降に入社する方や退職する方は、会社にマイナンバーを伝えなければなりません。会社などに勤める人は、今年12月の年末調整の際に、マイナンバーを会社に提示する必要があります。
また、1月1日以降に生命保険金を受け取られる方や、NISA口座、特定口座を新たに開設される方も、保険会社や証券会社等からマイナンバーの提示を求められます。
すでに口座をお持ちの方は、2018年12月までに提出しなければならないようです。NISA口座や特定口座内の取引については、証券会社等が個人にかわって税金を納付し、支払調書を国に提出する必要があるので、マイナンバーが必要になるのです」
どこに提出すべきで、どこに提出するべきではないか。その判断力も重要になりそうだ。
「そうですね。会社や国が、個人にマイナンバーの提示を求める場合には、その利用目的を示す必要があります。利用目的がわからない場合は、教える必要はありません。大切なマイナンバー。個人でしっかり管理することが大切です。まだ運用については決まっていないことも多いので、最新の情報に注意してください」
三宅税理士はこのように話していた。
【取材協力税理士】
三宅 伸 (みやけ・しん)税理士
大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。仕事、育児、勉強を両立しながら大阪の税理士法人に勤務。2014年11月、大阪・堂島で三宅伸税理士事務所を開業。誠実であること、素直であること、常にお客様の立場に立って考えることを大切に、お客様と共に成長していきたいと日々研鑽中。
事務所名 : 三宅伸税理士事務所
事務所URL: http://miyake-tax.jp/index.html
(弁護士ドットコムニュース)