井原体制2年目で迎える勝負の年…J1仕様へのバージョンアップを図る福岡 | ニコニコニュース

就任2年目を迎える井原監督の下で福岡は5年ぶりのJ1に挑む [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
サッカーキング

 昨季の明治安田生命J2リーグ終盤を12戦無敗で駆け抜け、自動昇格圏内の2位に勝点で並び、プレーオフを勝ち抜いてJ1昇格の切符を手にしたアビスパ福岡。現役引退から13年を経て指揮官に初就任した元日本代表主将の井原正巳監督に率いられ、一昨シーズンに60失点を喫したチームを失点37という堅守に変貌させた。

 対戦相手のストロングポイントを効率的に消すために3バックと4バックを併用。3バックでは両サイドMFを含む5人を最終ラインに置いて、5-4-1の形を敷くことが多かった。フィジカル面の強化と細部にこだわったトレーニングで、粘り強い守備を特長とするリアクションサッカーに磨きを掛け、7月にFWウェリントンが加入すると、攻撃では彼を起点としたカウンターのバリエーションを増やした。

 井原体制2年目となる今季も、指揮官は「昨シーズン築いたものをベースにしたい」と話す。ハードワークと守備の粘り強さがJ1でどこまで通用するかが注目ポイントだ。さらにJ1仕様へのバージョンアップとして、「守備でボールを奪う場所がディフェンシブサードであることが多かったので、もう少し前で奪ってカウンターを極めたい」と構想を語っている。

 攻撃の起点となるウェリントン、リオデジャネイロ・オリンピック アジア最終予選のU-23日本代表に選出されたサイドバックのDF亀川諒史がチームに残留したことは大きい。井原監督のイメージどおり、昨季よりもゴールに近い位置でボールを奪えれば、クラブ一筋12年目のMF城後寿、同じくリオ五輪世代のFW金森健志らを中心に、カウンターの精度を高めることができるだろう。また、大分トリニータから新加入のMF為田大貴も五輪世代で、サイドあるいはトップ下を攻撃陣を活性化してくれそうだ。攻撃的なサイドプレーヤーでは、V・ファーレン長崎からベテランのMF古部健太も加入している。

 守備陣ではフィジカルの強いDFキム・ヒョヌンをジェフユナイテッド千葉から、スピードのあるDF實藤友紀を川崎フロンターレから補強。より高い位置でボールを奪うという井原監督の守備構想において、J1でも戦えるだけの当たりの強さやカバーリング能力は、上乗せしたい補強ポイントだったのだろう。GKは昨季終盤に活躍した中村航輔が期限付き移籍元の柏レイソルに戻り、韓国代表として実績のあるイ・ボムヨンに加えて兼田亜季重を補強。在籍14年目の神山竜一を含めたポジション争いが激しくなりそうだ。

 5シーズンぶりにJ1を戦う福岡は、まず「最低限、残留すること」(井原監督)を目標にする。そのために必要な年間勝点を「46」と設定した。Jリーグ・スカパー!ニューイヤーカップの初戦に合わせて宮崎キャンプに入る福岡。井原監督は「キャンプまでに試合体力を戻し、(宮崎では)実戦でチーム力を高めながら、新戦力のコンビネーションや選手の見極めをしたい」と話した。鹿島アントラーズ、千葉、ロアッソ熊本と対戦する宮崎ラウンドでは、昨シーズンのスタイルをベースに、新戦力を含めたプラスアルファの部分をどこまで引き出せるかに注目したい。