自分が素晴らしいと思っている趣味でも、他人に理解されないことはよくある。あえて人に言う必要はないと思っていても、結婚や同棲となるとパートナーに隠し通すことは難しい。いっそのこと、暴露してしまったほうがいいのだろうか? 「教えて!goo」に「主婦なのに主腐(腐女子)になりました。夫にカミングアウトすべき?」
という投稿が寄せられた。これに対し「全然引け目を感じる必要はないと思います(中略)話し合いをしてルール作りをするなりなんなりの、すり合わせが必要だと思います」(josyuaさん)や、「不快にさせない程度に隠しておくのはマナーでしょう」(hanhangegeさん)など、言うべき派と隠しておくべき派、両方の意見が寄せられた。マニアックな趣味をパートナーに暴露すべきかどうか、心理学者の内藤誼人先生に聞いた。
■正直に言うことの危険性
「あえて言う必要はないと思います。オランダにあるユトレヒト大学のキャトリーン・フィンケナウアーが、結婚して20年以上の夫婦を調査した結果、『昔の秘密を告白することは、有益というよりもむしろ危険』と考えている夫婦が全体の62%いることが判明しました。無理に秘密を暴露し、わざわざ波風を立てる必要はないのです」(内藤先生)
確かに、世の中には知らないほうがいいことも多々ある。しかし、趣味が漫画やアニメなどの場合はどうだろう。昔から集めている漫画は電子書籍ではないし、フィギュアなどのグッズは隠しておくには場所も取るし、難しいのではないだろうか。
■趣味がバレてしまったら……
「外にレンタルボックスを借りて保管しておくというのはいかがでしょうか。あるいは、結婚を機に、独身時代に持っていたもの全て捨ててしまってもいいかもしれません。その後、少しずつ買ってきて『あれ、いつの間にか増えてしまった』という状態にすれば、抵抗がないかもしれません」(内藤先生)
この方法なら、いきなりカミングアウトするよりはパートナーに与えるショックは少ないかもしれない。だが、趣味の内容は変わらない。「ドン引き」あるいは「激怒」することも考えられる。
「その場合は謝ってしまえばいいのではないでしょうか。ある女性の話ですが、彼女の夫はタバコを吸う女性が大嫌いだったのですね。ところが、彼女はタバコが大好きで、毎朝夫が会社に出かけるのを待って、タバコをくゆらせていたのです。ある日、夫が家を出ると窓からモクモク煙が上がっている。火事だと思った夫が慌てて家に帰ると、彼女がタバコを吸っていたというわけです」(内藤先生)
まさに、隠していた趣味がバレてしまった決定的瞬間だ。その後は、どうなったのだろうか。
「それが、意外にも夫はあっさり妻を許し、『隠さずに吸ってもいいよ』ということになったのです。『隠していてごめんなさい』と謝ったほうが相手は許してくれるものですよ」(内藤先生)
隠すということは、相手に嫌われたくないという気持ちの表れ。それは、相手のことが好きだという意味でもある。謝ることによって、相手にその気持ちが伝わり許してもらえるかもしれない。ただし許される秘密には限度があるということも、覚えておいたほうがいいだろう。
●専門家プロフィール:内藤 誼人
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)