1月28日放送、「あさチャン!」(TBS)では、バター不足。今年もバターが不足し、輸入によって混乱を回避しようとしている。酪農家の減少などが理由で、需要に対して供給が追いつかない状況だ。
バターは、脱脂粉乳と同じで、国内の酪農家を保護するために、高関税をかけている。バターは脱脂粉乳と同様、水をかけると牛乳と同じ成分に戻る。チーズは牛乳に戻せないため、バターや脱脂粉乳に比べると関税が低くなっている。そのため、スーパーやデパ地下などでは、輸入チーズは見かけるが、輸入バターは見かけないのだ。チーズは高関税がかかっているが、多くの民間業者が輸入しており、さまざまな商品がある。だがバターは国の政府が管理している。小麦や米などと同様だ。国内で流通するバターは、国内の酪農家を保護するために、基本的に国内産でまかなっている。足りない分にだけ輸入し、政府が管理を行っている。
もしも海外から安価なバターと脱脂粉乳が入ってくれば、国内の酪農家が打撃を受ける。高関税は、民間業者が輸入できない仕組みを作って、国内の酪農家を保護するため。外国産米に高関税をかけて国内のコメ農家を保護しているのと同じだ。
TPPでは、重要5項目として、米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖を関税撤廃するように強く求めている。乳製品にはバターが含まれている。政府がバターの関税を大幅に引き下げて、自由貿易に任せれば、安価なバターが輸入されてバター不足は解消される。だが、日本の酪農家がダメージを受けて、バターやチーズだけでなく、牛乳まで外国産になってしまう懸念もある。
米国やEUでは、高関税のかわりに、補助金を支払うことで農家の所得を維持させている。それによって、自由な輸出入と農業の保護を同時に行っているのだ。高関税では、高価格が維持されてしまうため、消費者にも負担がかかる。輸入自由化は必ずしも農業の衰退につながるわけではない。日本は1991年に牛肉の輸入が自由化されたが、和牛は現在も好調だ。和牛は90年度から2013年にかけて、14万トンから16万トンに増えている。一方で国内の牛肉生産量は39万トンから36万トンに減った。
計画経済と国際競争の不足が、高いバターと品不足を招いているのだ。今、バターが岐路に立っていると言えるだろう。