日本と中国は東シナ海の尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐって対立している。これまでは問題を棚上げにしてきたが、近年は軋轢が表面化するケースも増えており、2010年には漁船衝突事故が発生し、外交を含めて大きな問題に発展したことは記憶に新しい。
一部メディアがこのほど、自衛隊が2012年、米軍とともに尖閣諸島での有事発生を想定した共同作戦の研究案を作成していたことが分かったと報じたことについて、中国共産党機関紙・人民日報の電子版は「日本は武力で尖閣諸島問題を解決するつもりなのか」と警戒心を示す記事を掲載した。
記事は、中国の軍事評論家である尹卓氏の見解として「日本は釣魚島問題を安全保障にかかわる問題とみなし、武力で解決しようとするかもしれない」との見方を示した。さらに、日本メディアの報道を引用し、研究案では、漁民を装った武装勢力による上陸・占拠なども想定されており、尖閣諸島の奪還までの作戦を4段階に分けて策定している。
続けて、4段階の作戦について、まず尖閣諸島への上陸阻止のため艦艇や航空機で警備を強化することのほか、小規模な武装勢力が上陸した場合に、日米が相手の増援部隊の接近を阻止して補給路を断つこと、さらに上陸した勢力に対して火砲や空爆などで総攻撃すること、日米部隊が上陸して奪還する内容となっていると伝えた。
この研究案が準備されていたことについて尹卓氏は、「これは中国に向けた研究案であり悪質だ」と非難。当時、中国は尖閣諸島を軍事にかかわる問題としてはまったく考えておらず、中国側は海警船だけをパトロールさせており、すべて法律に基づき対処していたと主張。後になって日米が尖閣諸島問題を日米安保理条約の範疇に入れたのだとした。
さらに、日米双方が日米安保理条約を明確に尖閣諸島に当てはめたことは、日本が「尖閣諸島問題を安全保障問題とし、武力によって解決しようとしていることを示している」と分析しているが、むしろ武力によって解決しようとしているのは日本からは中国のほうのように見える。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)