インドネシア・ジャワ島の高速鉄道の受注競争において、中国は日本より遅れて競争に参入したうえで、インドネシア政府の財政負担や債務保証などを求めない破格の条件を提示、受注をさらっていったことは記憶に新しい。
中国側が提示した破格の条件に対し、果たして本当に問題なく高速鉄道が開業できるのか、その後も問題なく営業を継続できるのかなどと疑問視する声が存在した。だが、開業はおろか着工式典が行われたばかりのインドネシア高速鉄道で、早くもトラブルが起きているようだ。
中国メディアの新浪はこのほど、日本や英国メディアの報道を引用し、中国側がインドネシア政府側に提出した書類の大半は中国語で記載されており、政府関係者がプロジェクトの評価ができずにいると紹介。
さらに、インドネシア政府側の見解として、中国側がまだ必要な書類を提出していないため、工事の許可証もまだ発行されていないとしたうえで、「インドネシア高速鉄道の工事は着工式典が行われてわずか1週間後に一時停止に追い込まれた」と指摘した。
一方で記事は、高速鉄道の建設のほか、運営を行う中国とインドネシアの合弁企業「インドネシア中国高速鉄道」の関係者は「着工式典は単なる式典だ。許可証が発行されれば工事は始まる」と述べたことを紹介している。インドネシア中国高速鉄道の関係者の話は確かに間違っていない。だが、本当の問題は「当たり前のことを当たり前のようにできていない」という点ではないか。
工事を行うには許可が必要で、そのために書類を提出して許可をもらうならば、完璧な書類を提出しようと思うのが普通だ。少なくとも、日本が受注していたら、このようなつまづきはなかったはずだ。必要な書類も未提出であるうえに、提出した書類も中国語で記載しているという点から、「当たり前のことを当たり前のようにできない」ことがわかり、工事そのものだけでなく、完成後の安全性すら信頼できないと言わざるを得ず、将来的に「日本に任せれば良かった」などという声があがらないことを願いたい。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)