世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」(コミケ)の会場として使用されている東京ビッグサイト(東京国際展示場)が、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの競技会場および放送センターとして使用されることで会場が確保できず、今後の開催が危ぶまれている。
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そんな中、2月3日、愛知県が常滑市の人工島に置く中部国際空港の隣接地に、6万平方メートルもの大規模な国際展示場を建設すると発表した。
また、東京五輪開催で引き起こされる大規模展示場不足を見越して、2019年秋の開業を目指し、東京五輪の影響で開催できなくなるイベントを誘致していくという。
これを受け、SNSなどでは愛知県に新設される展示場が「2020年のコミケ開催地の会場候補になるのでは?」といった憶測が飛び交っている。
愛知県では、今日、中部国際空港島に6万㎡の大規模展示場を2019年秋に整備する方針を表明しました。技能五輪国際大会の誘致や東京五輪中の展示会会場の受け皿に活用。新年度予算に3億6千万余円の基本設計費等を提案します。新たな交流による産業創出を図り、首都圏に並ぶ交流拠点を目指します。
— 大村秀章 (@ohmura_hideaki) 2016, 2月 3
規模を拡大してきた「コミックマーケット」
「コミックマーケット」は、毎年8月の「夏コミ」、12月の「冬コミ」と、年2回開催される大規模な同人誌即売会。2015年末の冬コミで、89回目を数える。
1975年12月に初開催となった日本消防会館会議室を皮切りに、1986年からの東京流通センター、1989年からの幕張メッセと、参加サークル・来場者の飛躍的な増加に合わせて規模を拡大しつづけ、1996年夏の「C50」から、同年完成した東京ビッグサイトにて開催しされ続けている。
しかし、2016年8月に開催予定の「C90」では、東京五輪にあわせた拡張棟工事の影響により、企業ブースの会期が現行の3日間から2日間に短縮されることが報じられた。
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愛知県によると、新設される国際展示場の建設費は300億円。周辺施設を含める総工費は350億円にのぼり、2016年度中に着工する計画だという。
一方で、名古屋市は、同市港区の展示場・ポートメッセなごや(3.3万平方メートル)の北約2キロの「空見ふ頭」内に、5万平方メートル規模の新展示場の設置するため県との共同事業化を目指してきたが、今回、県が独自計画に踏み切ったことで立ち行かなくなる可能性が高まっている。
コミケが長い間、使用してきた東京ビッグサイトの総展示面積は、約8万平方メートル。
約7.2万平方メートルを誇る幕張メッセもオリンピックの競技会場になることが決定しているうえ、過去には、特定の漫画を「有害」であるとして排除する有害コミック騒動などの影響で、1991年夏の「C40」開催直前、幕張メッセ側が会場の使用を拒否。急遽、場所を晴海に変更したという経緯もある。
コミックマーケット90申し込みで凄く不安になるアンケート質問がある。 pic.twitter.com/NxJTW6gn2e
— にえあ (@niea58) 2016, 1月 28
「C90」のサークル申込アンケートでは、「2020年の東京オリンピックの開催に関連して、コミックマーケットが首都圏で開催できず、大阪・名古屋で開催された場合、あなたは参加しますか?」という質問が記載されていたこともあり、首都圏外での開催も示唆されているコミックマーケット。
地方で幕張メッセ規模の展示場となると、約7万平方メートルのインテックス大阪が挙げられるが、今回、愛知会場が代替え会場となる説も浮上し、今後の動向がますます気になるところだ。