将来的に導入が検討されている高画質放送「4Kデジタル放送」が録画禁止になる可能性があるとして、ネット上で議論の対象となっている。
現在のフルハイビジョンの約4倍の解像度となる「4Kデジタル放送」。その技術規格や運用ルールなどを検討する業界団体「次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)」には、民放キー局のほか、ソニーやパナソニックといった家電メーカーが参加している。2013年に発足した同団体はこれまで様々な議題で会議を重ねてきたが、そのなかで、民放キー局が番組の「コピー禁止」を訴えているというのだ。
日本のBSデジタル放送、および地上デジタル放送では、私的利用に関する運用ルールとして、2004年4月から1回だけ録画することができる「コピーワンス」というコピーガードが採用された。その後、この縛りがやや緩和され、2008年7月に10回録画できる「ダビング10」が導入。現在、一部BSの有料放送やCS放送をのぞき、ほとんどのデジタル放送でダビング10が採用されている。
そんななか、会議内で放送局側が「4Kデジタル放送」における録画禁止を提案したと東洋経済オンラインで報じられた。同団体が昨年12月25日に公開した「高度広帯域衛星デジタル放送運用規定」という資料を見ると、「月極め等有料放送」や「コンテンツ保護を伴う無料番組」の「コピー禁止」について未定を意味する「T.B.D.」と記されている。現状のデジタル放送では、無料放送に関しては基本的に録画が可能である。しかし、4Kデジタル放送については「コピー不可」とするかどうかが決まっていないのだ。
放送局としては、著作権の保護とともに、CMを確実に視聴させたい狙いがあるのかもしれない。たしかに録画された場合は、CMがスキップされる可能性も高くなり、広告効果も低くなってしまうだろう。CMによる広告収入で無料放送が成立していることを考えると、「コピー不可」という案が出るのも仕方ないように思えるが、ネットユーザーの反応はかなり厳しい。ツイッターでは、
「やってる時間に見ることができないから録画して見てんのにそれすらダメならそれこそTVから人離れてくぞ」
と、録画できないことで“テレビ離れ”に拍車がかかるとの予測が多い。実際に、
「録画禁止で問題ないですよ、嫌なら見ませんので」
など、テレビは必要ないという意見を寄せるネットユーザーも少なくなかった。また、
「そもそも誰が4Kを望んでいるのかが判らない」
と、そもそも高画質な「4Kデジタル放送」に需要がないのではとの指摘も多かった。
テレビ局がネットで番組を配信することも増えている昨今。従来のテレビのあり方が大きく変化しようとしている。「4Kデジタル放送」の登場は、テレビの楽しみ方を考え直すきっかけとなるのかもしれない。
※当記事は2016年02月17日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。