インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画を受注した中国は、イランの高速鉄道建設においても支援を行っている。中国の高速鉄道輸出は勢いが衰えることなく、拡大が続いている。
中国メディアの海外網はこのほど、中国の高速鉄道輸出が順風満帆であるとし、「これほどの成功を収めることができているのは偶然か、それとも必然か」と疑問を投げかけつつ、必然の成功であると主張した。
記事は、インドネシアやイランの高速鉄道に続き、16年は米国、ロシアなどでも計画が進行する予定だと期待を示しつつ、「中国高速鉄道を軽視していた米国だが、ついに中国高速鉄道が進出することになるだろう」と主張。中国高速鉄道の米国向け輸出が成功すれば、中国にとって非常に大きな意義を持つことになると論じた。
続けて、中国高速鉄道の輸出は当初、障害や問題だらけだったとしながらも、「近年になってなぜ急に成功事例が増えたのか」と疑問を投げかけつつ、コストなどの優位だけでは語れないと主張。むしろ技術面で言えば新幹線も競争優位を持つとしながらも、「技術だけで市場を勝ち取ることは難しい」と論じた。
さらに記事は、中国高速鉄道の成功の背景には「政治力」があると指摘し、中国では李克強首相がトップセールスを繰り広げたことを紹介。さらにはアジアインフラ投資銀行やシルクロード基金、そして成長を続ける中国経済の存在を挙げ、中国と協業することによって「経済的利益」が得られるという期待があるからこそ、中国高速鉄道を導入したいと考える国が増えてきたのだと指摘し、「中国高速鉄道の成功は偶然ではなく、必然である」と主張した。
中国高速鉄道の輸出が数々の成功を収めている背景に政治力があるとの主張は一理あると言える。中国はトップセールスを行い、高速鉄道建設受注の見返りとして経済協力を行っているためだ。したたかな戦略のもとで輸出を進める中国に対し、日本も明確な戦略が求められている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)