民主党・福島伸享議員が2月19日の予算委員会の中で「同人誌は価値がない」と発言したところ、その部分だけが切り取られ、「同人作家を敵に回した」と物議をかもしています。しかし該当の部分はもともと、同人作家を守る観点から発言されたもので、本来意図していたものとはまったく逆の意味で拡散されてしまう事態となっています。
問題の発言があったのは、TPPと著作権についての答弁の一幕。これまで日本の著作権法では、著作権が侵害されても「実害」があった分しか保証されないため、無名の同人作家は賠償額も低く、賠償を恐れない違法ビジネスが横行してしまっている――という問題を提起する内容でした。
該当部分の書き起こしは以下。
“例えばコミケとか同人誌というのがあります。これは無名の人ですから価値がありません。仮にこの著作権が侵害されたとして訴えたとしても、現時点の価値は低いから、安い額の損害賠償しか出ないんです。そんな安い損害賠償なら手当たり次第コミケ・同人誌を集めて、そのなかで売れたものでバンと出た時にですね、大もうけをするというビジネスができるわけです。現にそういうことが起きてるわけです”(2016年2月19日 衆議院予算委員会、福島伸享議員の発言より)
しかし答弁後、一部のSNSユーザーやまとめサイトを通じて、この「例えばコミケとか同人誌というのがあります。これは無名の人ですから価値がありません」という部分だけが話題になり、逆の意味で拡散される事態に。ネット上ではたちまち「全同人作家を敵に回した」「こいつ同人誌の価値が低いと言いましたよ〜」など、議員への批判が集まる結果となりました。
福島議員はその後、自身のFacebookで「一部ネットで私の発言と全く逆の趣旨の情報が巡っている」「質疑をきちんときいていただければ、ちゃんとした本質的な議論をしていることがおわかりいただけるかと思います」と投稿。本来は同人作家の権利を守るための発言であったことをあらためて強調しています。