中国の習近平国家主席が進める「一帯一路」構想は中国にとって非常に重要な国策であり、実現に向けて中国は高速鉄道の輸出など様々な手を打ってきている。
中国メディアの参考消息網はこのほど、中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の研究員の分析を紹介し、日本が一帯一路構想に対抗するためにアジアのいたる場所で「中国の妨害を行っている」と主張した。
一帯一路構想はアジア、アフリカ、ヨーロッパに跨る巨大経済圏を実現することを目的としている。構想では、その経済圏の中心地は中国だ。一帯一路構想の具体的な事業としては、該当地域におけるインフラ整備などが挙げられるが、ある分析によれば中国は構想の実現を通じて自国を含む該当地域の経済発展や世界平和に貢献したい考えだという。
記事は日本のメディアが一帯一路について盛んに報道し、また様々なシンクタンクが一帯一路に対する知見を紹介していることに言及、しかし日本は中国が一帯一路構想実現を通じてアジアにおける影響力の拡大を図ろうとしていることを「不安視している」と主張している。
続けて、安倍政権が「中国が出向くところに日本も出向く」ことを方針としていると主張、もちろんこれは中国に従順するという意味ではなく、記事は「中国がどこかで橋を架けようとするなら、日本は中国がいる場所に出向いて計画を阻害する」という方針だと論じた。
記事は、東南アジアにおける日本と中国の高速鉄道受注競争はその一例だと主張。また新たな安全保障関連法制を通じて日米同盟を強化、それによりアジア太平洋地域を「不安定化」させ、一帯一路構想の実現に圧力をかけていると論じた。
日本は第6回アフリカ開発会議(TICAD)を2016年8月にアフリカで開催予定だが、一部分析によれば、これはアフリカへの経済進出に力を入れる中国に対抗する狙いがあるとされている。また日本はインドのネール大学に「日本センター」を設置する意向を表明したが、これは中国が世界中に設置している「孔子学院」に対抗する意図があるとされる。どの国家も自国が正義の基準になるが、中国にとって日本は夢の実現を願うヒーローを妨害する悪役として映るのだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)