企業の労働力を語るうえでしばしば登場する「2・8の法則」。イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した「パレートの法則」ともいわれ、“全体の数値の大部分は、一部分の要素が生み出している”という考え方のことだ。
たとえば、「売上全体の8割は、2割の従業員が生み出す」「社会所得全体の8割は、2割の高額所得者の所得」のように使われるパレートの法則だが、この法則はアリの集団にも当てはまるといわれている。2割のよく働くアリが全体の8割の生産性を担っており、さらにこのなかから働いているアリだけを集めると、その中でまたきちんと働くアリとサボるアリが生まれ、やはりその割合は2:8になるというものだ。
短期的な生産効率を下げる、「サボるアリ」がなぜ存在するのかはナゾとされてきたが、北海道大学が16日、研究結果を発表し、話題となっている。
研究では、「普段働かないワーカーが,他の全てのワーカーが疲れて働けないときに代わりに働く」というシステムと、「全員が一斉に働く」というシステムについて、どちらが長く存続するかを比較。すると、疲れていないときには2つのシステムの存続時間に差はなかったものの、疲れがあると「働かないワーカーがいるシステム」の方が長続きすることがわかったという。
つまり、いざというときには普段働かないアリが頑張って働くようになるというわけで、長期的視野にたてば、働かないアリにも存在意義がある!? という解釈ができることから、ネットユーザーたちが反応。Twitterには、
「そらそうだろうなぁ。ずっと全速力で無駄を徹底的に省くのは必ずしも良いとは限らんよ」
と、アリも人間も同じだという意見もあるが、
「いざという時しか働かない、というのはアリだとわかるが、人間の場合いざという時ほど働かなくて、結局集団にダメージを与えるのでは?人に当てはまるかは謎だ。」
など、人の社会においては「働かない人」がリスクヘッジ要員にはならないというシビアな意見も。
研究グループは「短期的効率を求め過ぎると大きなダメージを受ける」「働かないワーカーをあえて常駐させる非効率なシステムが不可欠」とし、さらにこれは、人間の組織にも通ずると分析。「組織運営全般に関して、長期的存続の観点を含めた上で考えていくことの重要性が示された」とまとめているが、実態として「アリと人が同じとは限らない」と思う人は少なくないようだ。
※当記事は2016年02月20日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。