毎日向き合わなければならない仕事。少しでも効率的になったり、省力化できたりという工夫を編み出している人は多いだろう。
そんな自分なりのノウハウを同僚に教えることで、自分より相手の方が評価されたりしたらちょっとイヤ――こんな考えから、周りには教えていないという人もいるようだ。「人にノウハウを教える」ことは、デメリットの方が大きいのだろうか、それとも・・・
次代を担う人たちに伝授していける人Q&Aサイト「OKWAVE」に、「自分の仕事の仕方を惜しげもなく伝授すること」について意見を求めるトピックが立てられた(2016年2月7日)。
投稿者は、
「今の会社では、自分がこれは良いと思った方法、身に付けたコツなど全てを、いろんな人に教えてきました。もちろん、相手が困ったときや聞いてきたときなどに、です」
という。その結果「私より仕事が出来るようになった人もいます」とも。
会社全体が良くなればいいということで気にしていないそうだが、
「これは、私が仕事の出来ない人間だからそう思うのでしょうか?この考え方は改めた方が良いですか?」
と、意見を求めている。
回答者からは、
「仕事の出来ない人間て事は無いと思います。改める必要も無いと思います」
「60過ぎると、ほとんどの人には辞めて欲しいと思うのが企業だ。そんななかでも、自分の持っているスキル等を次代を担う人たちに伝授していける人こそ企業は欲しがっている」
など、「そのままでいい」という意見が寄せられている。
ギスギスした職場なら・・・一方で、
「雇用環境次第だと思います。会社全体の利益が考えられるだけ、安定した職場なら、教えてあげても(投稿者)さんに不利益は無いでしょう。雇用のために、自分の仕事と立場を守らなければならない、ギスギスした職場なら、教えてあげたら、自分の仕事を失うことになりかねないですよね」
と、ケースバイケースだというアドバイスも。
「私も以前はあなたと同じように自分の経験から得た知識は他者へ伝えることが会社のためと思っていましたが、そうではない、といまは思っています。伝えるべき相手を見極めてから少しづつ伝えることにしました」
「私は過去、他部署から異動してきた後輩に『教えなきゃ』っていう義務感からいろいろ教えて、教えた内容を全部ひっくり返したヤツいました。まさに『飼い犬に手を噛まれた』ような状況で、四面楚歌です。教えられる側もいろいろいます。それが私の教訓となりました」
と、投稿者のように同僚に色々と教えたことで、過去に痛い目を見たらしい人からの書き込みもみられた。
「わが社には不要な人材」と判断されるおそれも!?様々な考え方があるようだが、たとえば、教える相手が部下の場合、実業家・小山昇氏は過去のコラムで、自身のノウハウを教えることを推奨していた。
ビジネスパーソン向けサイト「日経Bizアカデミー」のコラム(2013年6月26日公開)で、「人間である以上、わが身が可愛いのは当然のことですから、『自分の地位が脅かされる』という心配は私とて充分理解します」として「ノウハウを部下に教えないのは、当然の人間心理」としつつ、
「あなたの持っているノウハウは、あなたが自力で、ゼロの状態から得たものではないということです。(中略)ノウハウ『そのもの』はあなたの先輩や上司が、会社が授けてくれたのです」
と指摘。
部下を一人前にするためにノウハウを教えることが、また自分が新しいノウハウを得ることにもつながり両者が成長する。部下が挙げた業績は自分の手柄にもなる、とした上で、
「心ある経営者は業務が属人化することを極端に怖れます。あなたがいつまでもノウハウを伝えないでいると、遠からず『わが社には不要な人材』と社長に判断される」
と、ちょっとコワイ未来予測もしている。(MM)