<KANA‐BOON>「ギターロックがカッコいいと思って音楽を始めた」 原点回帰のアルバムをリリース | ニコニコニュース

「KANA‐BOON」の飯田祐馬さん(b)、ボーカル&ギターの谷口鮪さん(Vo&g)、小泉貴裕さん(ds)、古賀隼斗さん(g)
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 4人組ロックバンド「KANA‐BOON」が、3枚目のオリジナルアルバム「Origin」を17日にリリースした。資生堂「アネッサ」のCMソングに採用された「なんでもねだり」、映画「BORUTO‐NARUTO THE MOVIE‐」の主題歌「ダイバー」などのシングル曲を含む全12曲で構成され、4人が“音楽を始めた頃=原点”に立ち返って制作した意欲作だ。「枠にはまらず、自由なことをやった」と語る新アルバムについて、KANA‐BOONのメンバーに聞いた。

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 ――今作「Origin」は、当初はテーマが決まらず、原点を見つめ直すべく、制作の途中で4人で話し合いをしたそうですね。

 谷口鮪さん(ボーカル&ギター):今の自分たちの状況とか、そもそも音楽をしっかり楽しめてるのかとか、そういう話をして、まあ、全員が同じ気持ちで、「100%は楽しめていない」という答えが出て……。それはやっぱりこのバンドにとってはよくないというか、それはやがて亀裂になってバキッと割れてしまうことにつながると思うから、もう一回、自分たちで音楽の楽しさを取り戻していこうっていうことを決めて、そこで生まれたのが「Origin」というテーマで。曲でいうと、その話し合いのあとに一番最初にできたのが「スタンドバイミー」という曲で、今のバンドの心境と決意を集約させたんです。

 小泉貴裕さん(ドラム):デビューしてから、そのスピードにプレー面や精神面が追いつかないといけない、という思いが強くなって、プレー面もどんどん制限されていったというか。「できなくてもやってみる」だったのが「やれることをやる」という感覚で、音楽が仕事と思う意識が強くなってきたところもあって……。

 飯田祐馬さん(ベース):俺たちは音楽を仕事と思っちゃいけないタイプやなと思ってて、でも「やりたかったこと」が「しなくちゃいけない」「予定が決まっている」とかになって、あんまり自分たち発信じゃないなという感じもあったり、「絶対に間違ってはいけない」という責任感がプレッシャーになっちゃったり。それで、「昔の方がカッコよかったんじゃないか」と思った時に、何かポッカリ空いたものを感じることはありましたね。

 ――原点に戻るというのは具体的にはどんな作業だったんですか。

 古賀隼斗さん(ギター):バンドをやっているんだったら、自分らしいことをやらないと意味がないと思っていて、僕の中では、そういうモチベーションを元に戻すというイメージで。デビューしてから多くの人に聴かれるというところで、周りの目が気になっちゃったんですよね。「このフレーズは多くの人に響くやろな」=「自分らしくない」というところになっちゃっているなって。今回は、ニーズに答えなくても、自分がいいと思ったものを入れることができたと思うし、ちゃんと1個1個の音に念を込めて作りました。

 谷口さん:話し合いをした時点で、ドラムやベースはほとんど録(と)り終えている状況だったんです。歌詞はそのあとでしたけれど、曲的には原点という意識はなく、聴く人によっては新しい感覚みたいな、今まであまり出してこなかった骨太さ、ストレートさ、ギターロック感を出しているというか。自分たち自身、KANA‐BOONのパブリックイメージ、例えば四つ打ちで楽しい雰囲気だったりっていうのは、あくまでも自分たちの一部やと思ってるので。

 小泉さん:今まで使ったことのないドラムセットも使ってますし、たたき方も一から変えて、今回の曲に合わせたたたき方をしてるので、そういうパワー感や音の深みも出ていると思います。

 ――歌詞は、パーソナルなものから世相を反映したものまで幅広く、中には難解な表現もありますね。谷口さんは今まで、歌詞の意味を他のメンバーに説明していなかったそうですが……。

 飯田さん:最初に読んだ時にあんまり理解できないことがあって、ググッって(Googleで検索して)、それでも深いところが分かんなくて、こういうインタビューの場でよく聞いて、自分でかみ砕いたりします(笑い)。

 谷口さん:今回は「スタンドバイミー」に関しては、自分たちのことを歌ってるよっていうことを言いつつ、ほかの曲も歌詞だけは送って、見せましたね。やっぱり今回から変わりたいっていう気持ちもあるし、それぞれの解釈でいいんですけれど、自分たちが演奏している曲に、どういうメッセージが乗ってるかっていうのを知っておいてほしかったんです。

 ――タイトル曲「Origin」には「ナンバーワンのヒーロー」が登場しますが、曲中の「ヒーロー」のイメージは?

 谷口さん:歌詞作りの中でパッて浮かんだのが鉄腕アトムで、そこから自分の中のヒーロー、例えば○○レンジャーとか仮面ライダー、マンガの登場人物とか、いろんなキャラクターを思い浮かべながら書いてました。

 ――ところで、レコーディング中に印象的だったエピソードはありますか。

 古賀さん:こいちゃん(小泉さん)がダイエット中やったんですよ。いつもコンビニとかで弁当を買って、自然と一つのテーブルに集まってみんなで食べるんですけど、こいちゃんがチキンサラダみたいなのしか食えないんで、一人だけ違うフロアに行って食べるという。自分はバカメシにすごくハマッてて、カツカレーとか(笑い)。

 小泉さん:唐揚げとか好きなのに頼めないし。レコーディング中は結構、ドラムで体力を使ってるのに食べるものが質素っていうつらさがありました。

 ――ギターロック感やパワー感を押し出した今作の中では、いい意味で異色でライトな雰囲気の「なんでもねだり」。この曲はなんでも「ほしい」とおねだりする女の子が描かれていますね。ちなみに、こういう女性についてどう思いますか。

 谷口さん:アリかなとは思いますけどね。

 小泉さん:僕はこんなワガママな人は嫌ですね。「何もいらない」っていうぐらいの人が好きなんで。

 飯田さん:小泉さえいれば何もいらない?(笑い) 僕は好きですよ。財力があればいいじゃないですか、可愛らくして。

 古賀さん:可愛らしい「買って」みたいな言い方だったら大丈夫です。買ってもらって当たり前みたいなのは嫌で、オーケーかダメかを選ぶ権利がこっちにある状況下ならいい(笑い)。

 ――なるほど(笑い)。では改めて、今作についてメッセージをお願いします。

 飯田さん:全員、ギターロックバンドが大好きで、ギターロックがカッコいいと思って音楽を始めたみたいなところがあって、そこからはブレてない、真っすぐなアルバムができたと思ってるので、メッチャメチャ聴いてほしいですね。

 <プロフィル>

 ボーカル&ギターの谷口鮪さん、ギターの古賀隼斗さん、ベースの飯田祐馬さん、ドラムの小泉貴裕さんによる大阪府出身の4人組バンド。2013年にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビュー。谷口さんが初めてハマッたポップカルチャーは、テレビアニメ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」。「動物たちが変形してロボットになるっていうCGアニメなんですけど、オモチャもすごくヒットしたりして、小学生ぐらいの頃、男子はみんな見ていましたね」と話した。

 (インタビュー・文・撮影:水白京)