“影の王朝”といわれ、アメリカのみならず全世界に強大な影響力を与えてきた名門財閥一族・ロックフェラー家の“威光”に陰りが見えはじめているという。歴史上で一世を風靡した名門一族の例に漏れず、最盛期を過ぎてこのまま没落への道をたどっていくのだろうか。それとも、ロックフェラーの“DNA”はこれからが本番とばかりに今後の世界に燦然と君臨するのだろうか……。
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■世界統一政府“NWO”樹立計画は実在するのか?
一見偶然に起こった出来事のように見えるが、実はその背後にいる“首謀者”の何らかの計画に則った謀略の結果であると考えるのが「陰謀論」だ――。この陰謀論の“首謀者”には、宗教団体から秘密結社、レプティリアンや宇宙人などさまざまな説があるが、その中でも最も説得力のある“黒幕”としてよく挙げられるのが世界史上の“影の王朝”であるロスチャイルド家とロックフェラー家だ。
中でもロックフェラー家は実際の政治にも強い影響力を行使しているといわれ、1973年にディヴィッド・ロックフェラーが創設した三極委員会Trilateral Commission)は、いわゆる陰謀論者の間では新世界秩序であるニュー・ワールド・オーダー(NWO)の実現を推進するための組織であると囁かれてきた。
■世界政府の樹立を否定しなかったロックフェラー
NWOがどんなものであるのか、その内容については諸説あるが、その柱となっているのかディヴィッド・ロックフェラーを中心としたエリートたちによって構成された“影の政府”による世界支配である。世界をひとつに統合して徹底的な管理体制を敷き、増え過ぎた世界の人口を削減することもいとわないという無慈悲な統治政策が近い将来に待っているというのだ。日本でもはじまった国民一元管理システムである「マイナンバー」や、先日調印式がおこなわれたTPP(環太平洋経済連携協定)も、このNWO実現に向けた道筋の達成目標であるともいわれている。
しかし本当にNWOという計画は存在するのか? これに関しては2002年に出版された自叙伝『ロックフェラー回顧録(Memoirs)』(新潮文庫)の中でのデイヴィッド・ロックフェラーの言及が興味深い。
「私がアメリカ国民の利益に反して秘密結社の一員として働いている国際主義者で、政治的、経済的により統合された世界政府の樹立を画策しているのだと信じている人々が一部にいる。もしその計画が罪であるというのならば確かに私は有罪であるが、それは誇らしいことだ」(『Memoirs』より)
この言及を読む限り、今年101歳を迎えるロックフェラー家三代目当主であるデイヴィッド・ロックフェラーは、周囲が自分をどう見ているのかをじゅうぶんにわかっており、NWO計画があるとは明言していないものの、NWOの実現に尽力できることに誇りを持っていることを表明している。とすればやはり近い将来、全世界を厳重に管理する世界政府が誕生するということだろうか……。
■“世俗化”し“没落”するロックフェラー家
NWO実現へ向けての準備が着々と進められているということになれば、昨今急速に普及しているインターネット網を利用するなどして一気に進捗することも考えられ、“その日”が来るのはもうすぐなのかもしれない。
となれば、ますますその影響力を強大なものにすると思われるロックフェラー家だが、あらためて検分してみれば、現在、この名門一家には没落の兆候が見えはじめているということだ。情報サイト「Your News Wire」などによれば、同家は「もはや以前のロックフェラー家ではない」というのだ。
米「Forbes」誌の最新の世界長者番付(The World's Billionaires)では、ジョン・D・ロックフェラーの資産は32億ドル(約3700億円)で世界603位に留まっている。それでもロックフェラー家全体の単位では1兆円を超える資産を有しているといわれているが、一族の初代であるディヴィソン・ロックフェラーの資産は当時のアメリカのGDPの1.5%(現在の2500億ドル相当、約28兆5000億円)を占めていたことに比較すれば、今やその面影もないということになるのだろうか。
現在の同家のメンバーも別々の場所でそれぞれの生活を送っており、急速に“世俗化”が進んでいるという。そしてもちろん、今年101歳を迎える三代目当主の健康状態も取り沙汰されている。
アメリカの黄金時代(Gilded Age)を中心に栄華を誇り、戦後は政治的強権をふるい陰謀論者たちの敵意を一身に浴びていたロックフェラー家も、その役割を終えたということになるのだろうか。しかし世の中にそう思わせるところが“印象操作”であり“謀略”であるという“陰謀論的”な見方もできないわけではないのだが……。
一説によれば、もし今年の大統領選で共和党(トランプなど)が政権を握った場合、ロックフェラー家の影響力は再び盛り返してくるはずだともいわれている。また、シリア情勢やISの台頭などの混迷を極めた世界情勢の中にあっては、むしろ“世界政府”の樹立を望む声が上がってこないとも限らない。いずれにしても現在がまさに激動の時代にあることをあらためて実感させてくれる話題ではないだろうか。
(文=仲田しんじ)
※画像は、ディヴィソン・ロックフェラー氏 「Wikipedia」より引用