AppStoreで人気の「無料音楽アプリ」5つを通信解析してわかった音楽無料提供の仕組みとは (iLoveMusic・MusicCloud・DropMusic・Music Stream・Music Bank)

iPhoneのAppStore総合ランキング上位に多数存在する「無料で音楽聴き放題アプリ」たち。数百万というダウンロード数と、そこからの広告収益を稼ぐそんなアプリたちに共通する「最新の音楽を無料で提供できる仕組み」について紹介します。キーワードは金脈API、かな。

free-music-applications

↑中高生の認知度がかなり高いのではないか、と予想しています(自分自身が使っていなくても、友達の一人くらいは使っているだろう的な)。「無料音楽プレイヤー」「無料音楽取り放題」なんていう言い方もあります。

分析対象の人気の無料音楽アプリ一覧

無料で音楽が聴き放題という宣伝をしているアプリたちは多数あるのですが、その中でもアプリランキング1位を経験済みのような、レビュー数が1000を越えるアプリを対象にしました。

  • iLoveMusic(総合無料2位、Android版無料2位)
  • MusicCloud(総合無料20位)
  • DropMusic(総合無料55位)
  • Music Stream(ミュージックジャンル無料上位)
  • Music Bank(ミュージックジャンル無料上位)

※順位は最高順位ではなく、ダウンロードするときにチェックした現在のものです。

これらはどれも大人気で、Twitter上のやりとりを検索したりすると、これらの「無料で音楽を聞けるアプリ」がかなり浸透していることが分かります(学生中心?)。

普通に350万ダウンロード以上のアプリもあって、驚かされます最近色々記事を書いたGunosyアプリは170万ユーザーを達成したそうです。アプリの説明より)

分析方法

分析結果

各アプリの分析結果は、次のようになりました。

全分析を総合した結論はシンプルなものなので、各アプリの分析結果はさらっと読む程度で問題ありません。一気に結論をちら見してもいいと思います。

iLoveMusic

コンテンツについての説明

【コンテンツについて】
当アプリ内においての音楽は一般にインターネット上で公開されているサービス上に掲載されているコンテンツであり、ダウンロードする機能はありません。
当アプリでは当該コンテンツの著作権に関しては関知しておりませんのでご了承ください。
本アプリにおいて著作権を侵害している又はその恐れがあるものについては、対応致しますのでお問合わせより御連絡下さい。

分析結果

iLoveMusicの分析は無料音楽アプリ「iLoveMusic」はどこから音楽ファイルを取得しているのかという記事で詳しく紹介しました。

その分析から、iLoveMusicは、音楽データを中国のXiami.comというサイトから調達し、その音楽データを直接Xiami.com(中国)からストリーミングしていることがわかりました

このXiami.comには、音楽検索APIがあり、簡単にアプリに組み込むことができることがわかりました。

これがきっかけで、「ほかの無料アプリも似たことをしているのではないか」と思ったのがそもそもこの記事のきっかけです

MusicCloud

コンテンツについての説明

※注意
MusicCloudは完全無料のストリーミングアプリです。ダウンロードする機能は一切ありません。

※必ずお読みください
MusicCloudは一般的にインターネットで公開されている音源を使用しております。私的使用だとしても、違法にアップロードされた著作権のある音楽を視聴することは違法です。そのような音楽は絶対に視聴しないでください。
ご理解とご協力をお願い致します。

※著作権のお問い合わせについて
サポートページのDMまでお願い致します。

分析結果

検索機能利用時の通信を解析したときの画像がこちら(こんな感じで通信内容の詳細を見ています)

music-cloud-search-request

ここから、iLoveMusicと同じxiami.comの楽曲検索APIを利用していることがわかりました

また、ジャケット画像はimg.xiami.netのデータを使っており、コンテンツについてもxiamiを使っていることが分かります(検索APIの結果がxiamiのコンテンツのURLを返すんだから当たり前)。

したがって、MusicCloudも、結局Xiami.comを使っていることがわかりました。

DropMusic

コンテンツについて

まず、「DropMusicはYoutubeなどで公開されている曲を様々な方法で提供しています」と書かれています。Youtube「など」が気になるところです。

【コンテンツについて】
当アプリ内において表示されてる動画や音楽は、一般にインターネット上で公開されているサービスに掲載されているコンテンツです
当アプリでは当該コンテンツの著作権に関しては関知しておりませんのでご了承ください。
なお、当該コンテンツにおいて著作権を侵害している又はその恐れがあるものについては、対応致しますのでお問い合わせフォームにてご連絡ください。

分析結果

こちらも音楽検索クエリの送信先が「api.xiami.com」でした

つまり、「YouTubeを使っている」と書いてあったのは動画部分であって、音楽部分はXiami.comだった、というわけです。

Music Stream

コンテンツについて

Music Streamはネットで公開されている邦楽・洋楽を『完全無料』で楽しめます。

コンテンツについての説明はかなりあっさりしています。

分析結果

このアプリは「GET /search/song/page/1?key=searchword HTTP/1.1」というリクエストを送っていました。今までのXiamiAPIの形式とは違います

しかし送信先ドメインは…「www.xiami.com」でした。

したがって、こちらも音楽データはXiami.com由来だった、ということが分かります。

Music Bank

コンテンツについて

このアプリの場合は、音楽コンテンツの入手ルートや著作権に関する表記は一切アプリの説明にはありませんでした

分析結果

ここは検索にxiami.comを使っていませんでした

検索時、アクセス先は「www.minariapis.com」でした。

検索完了直後、検索結果を表示するために、サムネイル画像(ジャケット画像)を読み込むのですが、そのサムネイル取得のリクエストを見てみると…「img.xiami.net」でした。

実際、www.minariapis.comからのレスポンスを確認してみると、api.xiami.comの結果と同じでした。

つまり、www.minariapis.comがプロキシとして動作しており、api.xiami.comに代理アクセスしているようでした

結論

人気ランキング上位の無料音楽アプリが中国の無料音楽ストリーミングサイト「xiami.com」から音楽データを取得していた

今回、大人気の無料音楽再生アプリ5つの分析結果を紹介しました。実際は検索機能に限定した分析でしたが、どのアプリも中国の音楽ストリーミングサイト「虾米音乐网(xiami.com)」のAPI(api.xiami.com)を利用していることがわかり、音楽データがXiami.comから調達されていることがわかりました

これを見ていると、アプリ開発者が「api.xiami.com」という金脈を掘り当てたかのようです。

最後に重要な特徴に触れておきます。

どのアプリも、アプリの説明に「Xiami.comを利用している」ということが一切書かれていない

こうなってくると忘れてはならない最重要事項が「xiami.comとは一体何者なのか」、なのですが、それはまた今度にします。というか現時点で途中までしかわかってない感じです;ただ「わかった」の基準が高過ぎる気もするので、分かる範囲でほどほどに明日までに書くことにします(予定)。→書きました:無料音楽アプリが利用する「中国の無料音楽サイトXiami.com」は一体何者なのか

↑リツイート用にツイート用意しました。

予告→書きました