「今、アメリカは黒人が大統領になっている。黒人の血を引くね。これは奴隷(どれい)ですよ、はっきり言って」
参院憲法調査会でこんな人種差別まがいともとれる発言をしでかし、謝罪に追いこまれた自民党の丸山和也参院議員。
だが実は、見識を疑われるトンデモ発言はこれだけではなかった。丸山議員は弁護士でもあるが、法廷でも不適切発言をかまして周囲を呆れさせているというのだ。
現在、水戸地裁で「共同組合つばさ事件」という裁判が争われている。茨城県のシソ生産農家が中国人女性の技能実習生(25)に深夜2時、3時まで時給300円の深夜残業を強(し)いただけでなく、服の上から口を押しつけるなどのセクハラ行為を働き、実習生側から未払い賃金などの賠償を請求されているというものだ。
この裁判で被告訴訟代理人を務めているのが丸山議員。裁判の経過を知る弁護士のひとりがこう証言する。
「口頭弁論を前に、丸山議員が昨年11月2日に提出した準備書面がトンデモ発言だらけなんです。原告の主張に対し、『証拠のでっち上げ』、『捏造した情報』、『セクハラをでっち上げ、金員を喝取しようとしている』など、とにかく中国人女性がお金を脅し取ろうとしているの一点張り。
本当に被告側が犯罪を企んでいるというのなら、証拠をそろえて反訴するのが筋でしょう。それもせずに、このトンデモ発言…。長い間、弁護士をしていますが、告訴内容を吟味する前に、これだけ頭ごなしに加害側が被害側を犯人扱いするケースを見るのは初めてです」
別の弁護士もこう呆れる。
「でっち上げだの、喝取だの、とにかく言葉づかいが過激で荒すぎる。裁判長もさすがにひどすぎると思ったのか、その場で丸山議員に『この書面をそのまま陳述しますか? 訂正を検討するつもりはありませんか?』と、たしなめたほどでした」
その結果、後で本人もまずいと判断したようで丸山議員は1月25日、「準備書面変更申立書」というものを提出。そこには「証拠のでっち上げ」を「証拠の作出」、「金員の喝取」を「金員の不当要求」、「セクハラの作り話をでっち上げた」を「セクハラの作り話を仕立て上げた」…等々、穏当な言葉づかいに改めた発言が多数並べられるはめに…。
ちなみに、裁判の第3回口頭弁論があったのは1月29日のこと。この日、丸山議員はJR常磐線のグリーン席を利用して、水戸地裁に出廷している。
だが、当日は第190通常国会の真っ只中。せめて国会開催中くらい、副業の弁護士稼業を控える気配りでもあれば、法廷でこんな乱暴な物言いをすることもなかった?
お疲れだったとも考えられるが、弁護士として国会議員として、いずれもその品格が問われることは間違いない。
(取材・文/週プレNEWS編集部)