人類はずっと「美しさ」に引き寄せられ、また自らも創り出してきた。美が人に働きかける力は非常に大きいが、中国メディアの捜狐はこのほど、ものづくり精神を大切にする日本の企業に一種の「美意識」が強力に作用していると論じている。
記事はまず、日本のものづくり精神について、「揺るがず、浮つかず、絶えず進歩を目指す特質」であると定義、そして日本の理美容用鋏製造メーカー「東光舎」にこの精神が見られると紹介。多くの消費者はこの企業を知らないが、「ニワトリ印」がマークされている東光舎のハサミは世界各国の理美容師向けに親しまれ、愛されていると説明した。
続けて、東光舎は熟練した職人による手作業を要とし、機械加工のみでは絶対に不可能な切れ味を実現していると紹介し、製品のクオリティが非常に高いため、社名より「ニワトリ印」という呼び名のほうが有名になっているほどだと伝えた。
記事がこの点を強調しているのは、東光舎が企業名を宣伝し、営利追求を最優先せず、製品そのものを心から愛する企業精神を東光舎に感じたからであろう。企業が製品に愛を注ぎ込むなら、製品は顧客に愛される。顧客に愛される製品を持つ企業は強い土台の上に経営を成り立たせることができる。
さらに、東光舎は世界各国に正規代理店を持ち、従業員のなかには「現代の名工」として表彰された経験を持つ職人もいることを指摘する一方、企業の実力の高さに比べて「事業規模は驚くほど小さい」と主張、営利を最優先し規模を拡大してはすぐに消えていく多くの中国企業とは異なり、「これぞ地に足をつけた発展ではないか」と主張した。さらに記事は、理美容用ハサミ市場のトップシェアを誇る東光舎を「見えない王者」と称賛した。
記事はここに日本の企業の「美意識」があると論じる。事業規模が小さくともクオリティの高い製品を造り出すことを美とする。美には人を動かす強力なパワーがあるが、こうした美意識も、ものづくりを重視する日本の企業のなかで強力に作用していると記事は指摘、中国の企業にとっても素晴らしい手本だと称賛している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)