ショウジョウバエは、足にある味覚神経細胞で餌を探し出し、食事を促している――そんな研究成果を東北大学のグループが2月22日に発表した。
人間は口に入れるまで味を判断できないが、昆虫は足や食道、羽、産卵器官などに味を感じる神経細胞がある。味の情報が末端から脳の神経に伝わっているものの、これらの神経が食行動にどんな作用を及ぼしているかの全体像はよく分かっていなかった。
同大学のグループは、ハエにとっておいしい餌となる砂糖の甘みを感じる神経に注目。足にある味覚神経細胞から脳へ情報を伝える細胞は餌を食べ始めるように働きかけ、人間の脊髄にあたる腹神経索へ向かう細胞は歩行や方向転換をコントロールし、2つの異なる役割を持つことが分かった。
足が餌に触れるとハエの動きが止まり、すぐに食事を始められる――この効率的な仕組みは神経ネットワークに支えられており、足にある味覚神経細胞が食物を探しだすのに必須であると明らかにした。
ハエがよく足をこすりあわせるのは、餌を見つける器官を常に清潔に保ち、よりおいしい餌を探すためだという。
同研究は、さまざまな生物の味覚センサーの機能を研究する上で、よいモデル系になると示唆している。成果は科学誌「Nature Communications」(電子版)に19日付(現地時間)で掲載された。