日中関係は今なお微妙な状況が続いているが、日中の民間交流はさかんに行われている。こうした草の根の交流が少なからず日中に良い影響を与えていると言えそうだ。中国メディアの人民網はこのほど、「中国が好きな日本の友人」と題して、日本で中国語を教えている中国人の体験記事を掲載した。
記事は日本に滞在している中国人の見解として、日本には「中国や中国人が好きな人も多いことに気が付いた」という。ある日、中国人留学生と「日本人の家庭を訪問する」活動に参加した際、訪問先の家にはあちこちに中国の物品があり、訪問先の主人はそれらのコレクションを1つずつ紹介してくれたのだという。
例えば、客室には果てしなく伸びる砂丘と点々と見え隠れするオアシスが描かれた絵画が飾ってあったそうだが、それは何十年も前に新疆ウイグル自治区のトルファンへ旅行に行った時に購入したものだという。当時の中国は交通の便が悪く、何日も列車と車を乗りつぐ苦労をしたものの、雄大な砂漠を目にし、悠々としたラクダの鈴の音が耳に響いたとき、連日の旅の疲れは一気に飛んでしまったと振り返ったそうだ。この時に見た美しい景色を忘れないため、客間の目立つ場所にかけているという。
家の中にはほかにも、初めての中国旅行で拾った奇石や中国屏風など、中国の品々がたくさんあり、どれも家主が中国を訪れた際に持ち帰った思い出の宝物で、「直接的な方法で中国に対する愛を示していた」と記した。
筆者が紹介した別の日本人は自身の生徒である女性だ。看護師だというこの女性は、勤め先の病院に時折中国人旅行客が来るものの、多くは日本語ができないため、患者と直接会話して癒してあげたい、痛みを軽減させてあげたい、早く良くなるように助けてあげたいという願いから中国語を学び始めたという。
この看護師は授業で学んだ単語や文法を書きとめた小さなノートを持ち歩き、毎日通勤の電車の中や休憩時間などに復習する努力家だと感動した様子で紹介した。筆者は最後に「中国を愛し、中国人を理解しようとする日本人のおかげで、日中間の平和の帯がつながっていられると思う」と感想を述べている。
政治的にはさまざまな対立がある日本と中国だが、多くの旅行客が訪れているとおり、民間ベースでの交流は確かに活発だ。日本を訪れた中国人旅行客が日本の良さを見て、それを帰国後に「日本の宣伝役」となったかのように積極的に拡散してくれる中国人も少なくないという。もちろん日本にも中国の雄大な歴史や風景に魅せられた人は多いだろう。政治的に膠着する今だからこそ、民間の交流が大事なのだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)