運転中に意識を失い交通死亡事故を起こしたとして、過失運転致死罪に問われた女性(22)の判決で、福岡地裁の潮海二郎裁判官は26日、女性が特発性過眠症を患っていたことを指摘し、「運転中に意識消失状態に陥ることを予見することは困難だった」と述べ、無罪(求刑禁錮2年)を言い渡した。

 判決によると、女性は2014年7月、福岡県春日市内で普通自動車を運転中に意識を失い、歩道を歩いていた男性=当時(70)=をはね死亡させた。

 検察側は、女性が事故前にストレスなどで特発性過眠症に罹患(りかん)し、立ちくらみなどを経験していたことから、運転すれば意識消失状態になることが予見できたと主張していた。

 潮見裁判官は判決で、「女性が特発性過眠症と診断されたのは事故後」と指摘。同症は自覚症状が乏しく、「診断前に病気に罹患していると認識することは困難」などと判断し、予見可能性を否定した。