世界はカネをじゃぶじゃぶと刷りまくることで熱狂相場を演じてきたが、そんな宴が長く続くはずもない。終わる時は、より劇的に散る。長く続いた大相場。そのフィナーレの「売り場」が幕開ける。
中国はもう終わり
ジョージ・ソロス氏、ウォーレン・バフェット氏と並ぶ、世界の三大投資家の一人として知られるジム・ロジャーズ氏が中国・南京の金陵ホテルに現れたのは、世界中の株式市場が暴落劇におののいていた8月末のことだった。
ロジャーズ氏は現在72歳だが、いまも現役バリバリの投資家。世界中のマーケットの先端情報をかき集めては、株から債券、商品にまで投資して、巨額のリターン(儲け)を稼ぎ続けている。株式市場の「リビング・レジェンド(生きる伝説)」と言われる所以である。
そんな精力的なロジャーズ氏が美女を連れてこの南京のホテルに姿を見せたのは、中国の経済誌『価値線』のインタビューに応じるためだった。
そこで氏が語った内容は衝撃的だった。
「私が思うに、世界の金融危機がそろそろ爆発しそうだ。早ければ今年の秋にも爆発する可能性がある」
「私はもう米国にはなにも投資はしていない。すでに米国の株価は史上最高値を通り越してしまったのだから」
「私は日本株も投げ売った。金融危機の爆発が間近に迫っているということだ。みなさんも気をつけたほうがいい」
ロジャーズ氏の不気味な予言をなぞるかのように、世界の株式市場は9月に入ってからも一向に落ち着く気配を見せない。
というより、米国でも中国でも日本でも株価暴落が止まらず、まさにロジャーズ氏が語る「金融危機の爆発」に向けて、崖を滑り落ちているかのような様相を呈してきた。