16歳や17歳などの「未成年少女と淫行」した成人男性が逮捕されたというニュースが度々、報じられています。でも、疑問なのは、女性が結婚できる年齢が16歳であること。だったら問題ないのでは? と思う人も多いようで、弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、成人男性から18歳未満の少女との恋愛に関する相談が寄せられています。
Aさん...「自分は24歳の男性なのですが、スマホのアプリで知り合った16歳の女子高生と恋愛をしています。2ヶ月ほどデートを重ねた後に付き合いはじめました。
まだ性交を行ってはいませんが、時々そういった雰囲気になることがあります。私としては純粋な恋愛だと思っているのですが、万が一、性交を行ったあとで彼女か彼女の親が警察に通報すれば私は逮捕されてしまうのでしょうか」
Bさん...「17歳の女子高生と付き合っています。私が44歳と年齢差が有り、違法でないか心配です。お互い好意を持っての交際ですので、肉体関係もあります。付き合ってることは、相手の親は知りません。なお金銭の遣り取りは、有りません」
2人が心配しているように、女子高生と成人男性との交際は違法行為なのでしょうか? 小田 紗織弁護士に聞きました。
A. 「真摯な交際」であれば違法ではない
女性は、「16歳になれば婚姻できる」(民法731条)とされており、また、結婚相手の年齢にも制限はないので、18歳未満の少女と成人男性とが恋愛・交際することも当然に想定されています。
ただし、18歳未満の少女との性行為に関しては次のような法令等があります。
まず、18歳未満の者に「淫行をさせる行為」は禁止され、罰せられます(児童福祉法)。ここでは、少女に事実上の影響力を及ぼして働きかけ、性行させる場合を想定しています。例えば、教師がその立場を利用して生徒と性行為をしたようなケースです。
次に、少女にお金を渡したりして性行為をすると児童買春となり、処罰の対象になります。
さらに、各都道府県には青少年健全育成条例があり、多くの場合、事実上の影響力の有無やお金のやりとりがあったかに関係なく、18歳未満の少女との「みだらな性行為」や「わいせつな行為」、深夜に外出することなどを禁じています。
18歳未満の少女との性行為等について判例上は、少女を「誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為」と、限定して考えられています。
このように法令などをみてみると、少女と成人男性が、結婚を前提に付き合っているなど「真摯な交際」をしているのであれば、性行為をしても問題ないということになります。
なお、少女との交際でトラブルになるケースの多くは、別れる際、男性が一方的に別れを切り出したなど対応が不誠実な場合に、不満に思った少女やその親が警察に相談するといったところから始まりまるようです。
また、少女と交際するにあたっては、その親ともトラブルが起こりがちです。少女と男性の交際を不満に思った親が、無断で警察に相談することもあるようです。もっとも、少女が警察に『男性との交際は真剣だ』と明言すると、警察もそれ以上は積極的に捜査しないようです。
ただ、警察沙汰になっては大変ですから、少女と交際をするには、その親の信頼と理解を得るように努め、別れる際には逆恨みされないように誠実に対応した方が良いでしょう。
【取材協力弁護士】
小田 紗織(おだ・さおり)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所