愛知・岐阜県を走る名古屋鉄道が、自社の特急車両で使われている警笛音を「音商標」として特許庁に商標登録出願していたことが、25日、同社への取材でわかりました。特許庁によると、鉄道やバスなどの乗り物の警笛音について、出願があったのは初めてだそうです。
【実際の音】名鉄が商標登録出願したミュージックホーンのサウンド
名鉄ならではの旋律
同社が出願したのは「ミュージックホーン」と呼ばれる警笛音。名鉄の特急車両に通常の警笛音とともに搭載されているもので、「♪ミ・ド・ラ・ミ・ド・ラ・ミ……」のメロディーを奏でます。踏切やホームへの列車の接近を知らせることが目的です。
ミュージックホーンを鉄道車両に初めて搭載したのは小田急電鉄(1957年)。その後全国で2番目の例として、1961年にデビューした名鉄の「パノラマカー7000系」に搭載されました。パノラマカー以外の特急車両でも採用されていて、使用頻度は減っているようですが、7000系引退(2008年)後も名鉄ならではの音を聴くことができます。
特許庁「ほかに例がない」
出願は先月14日付。出願した理由について名鉄の担当者は「商標登録を行わなくても従来通りミュージックホーンを使い続けることはできたが、権利範囲を明確にして、今後の権利の保全を図っていこうと考えた」と説明。「テレビゲーム機用プログラム」「キーホルダー」「かばん類」などとして出願されていますが、今後の利用法について担当者は「登録されてからの利用方法は改めて検討していく」と話しています。
「音商標」は2年前の商標法の改正で登場。「動き商標」「ホログラム商標」などとともに「新しいタイプの商標」として、特許庁が昨年4月から出願の受付を始めました。同庁商標課の担当者は「乗り物の警笛音などが出願された例はほかにない」と話しています。
果たして、ミュージックホーンは「音商標」と認められるのでしょうか――。現在、特許庁が審査しています。