ここ数年、就職活動では売り手市場が続き、多くの学生が大企業へと流れる一方で、中小企業からは「なかなかいい人材が取れない」といった声が出ている。各社とも学生の興味を惹くために色々と苦慮しているが、そうした中、説明会で「運動会」を開く企業が現れた。
福井県坂井市で靴の流通販売事業を行っているザカモア社が「会社説明運動会」と題して企画したもので、イベントサイトによると、3月21日に同市内の体育館で実施。4時間の運動会で一緒に汗をかいた後、1時間の説明会を行う。
「会社に興味がなくてもOK。純粋に運動会を楽しもう!」2017年卒の学生だけでなく、2018年卒の大学2年生も参加可能だ。「頭より先に体が動いちゃう学生向け」だという。服装はもちろん、ジャージなどの動きやすい格好でOK。「運動会の後に会社の説明もするけど、そのままの服装で参加してください!」と書いている。
「あ、僕らの会社に興味なくても、純粋に運動会しに来てもらってOKだから♪ みんなで楽しもう! 運動会へのエントリー、お待ちしてます」
運動会では、大縄跳びや10人11脚、障害物競争など、定番の競技を用意。同社からも代表含む10人が参加する。
せっかくの説明会なのに、まるで運動会の方が重要という書きぶりだが、どういうことなのか。同社と一緒に今回のイベントを企画した採用支援企業LinkMakerの大連達揮さんは、「運動会はザカモアの体育会系の社風と親和性が高いと思いました」と語る。
同社にはデザイナーなどの専門職もいるが、スキルよりも「目の前のことに素直に取り組む人材」を求めているという。運動会を精一杯楽しむことができる人材はうってつけのようだ。
会社の「ノリ」を事前に知ることでミスマッチを減らす一方で、中小企業は現在人材を採用するのが大変なため、「目立つことで差別化を図りたかった」という考えもあるという。
「学生が中小企業に就職しようとしても、親が『そんなとこ辞めて大企業にしなさい』ということがある。でも、なぜ大企業がいいかというと、ただ名前を知っているからだったりします。それなら少しでも話題になる説明会を開催して、『運動会みたいな面白いことやる会社ならいいよ』と思ってもらえるようになれば」
また、運動会には同社の社員も参加し、学生とチームを組む。そこで交流することで、自分がその会社のノリや空気に合っているかどうか分かるので、ミスマッチが減るという。大連さんは、「互いにスーツを着て説明会を実施しても表面しか分かりません。まず一緒に汗をかいて、会社のことを知っていただけたらと思います」と話していた。
定員は20人で、すでに10人以上から応募があるという。同社は選考に入ってからも変わった企画を用意しており、2次ではログハウスでの合宿、最終では社長との食事会があるとのことだ。
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