体は男性でありながら、自身の内側にある女性の心の存在に気づいた風景画家アイナー・ヴェイナーが“リリー”として女性の人生を歩んでいくさまを描いた映画『リリーのすべて』の特別映像が公開され、主演のエディ・レッドメインの美しい演技と役づくりへのこだわりが明らかになった。
本作は80年以上前に、世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人リリー・エルベの実話を基にしている。男性から女性、内面から肉体の変化までを経験するという難しい役どころを務めたエディは、その圧倒的な演技力でリリーになりきっている。共演には、アリシア・ヴィキャンデル、ベン・ウィショー、マティアス・スーナールツらがそろい、『英国王のスピーチ』などのトム・フーパーがメガホンを取った。
映像内、エディは「リリーの本当のジェンダーが顔をのぞかせる瞬間を常に意識した。心の声が聞こえる瞬間だね」と内面の役づくりについてのこだわりを明かす。その言葉通り、エディによって心と体の不一致に葛藤する彼女の戸惑いや、女性として過ごすことで感じる喜びが繊細かつ美しく表現されている。
また、女性として生きていく決断をしたリリーの一番の理解者であり続ける妻ゲルダを演じたアリシアは「初めてリリーの姿を見た時は、抱きしめたくなった」というほどに、エディがリリーそのものであったと語っている。エディが「本作は愛の深遠さを教えてくれる。真の愛を決めるのは、ジェンダーの違いなどではない。人の魂なんだ」との思いを込めた名演は観る者の心を揺さぶるに違いない。(編集部・小山美咲)
映画『リリーのすべて』は3月18日公開