みなさんは、ご自身の生活について「ゆとりがある」と感じていますか。必要最低限の消費や貯金以外にも、家族旅行を楽しんだり、子どもに習い事をさせたりしても不安にならない所得はありますか。実は、ある調査によれば「ゆとりがない」と感じている家庭は65%以上。しかし、平均的な世帯所得を得ていれば十分「ゆとりある暮らし」が送れるのです。
○旅行や子どもの習い事が可能な所得額とは
みなさんにとって「ゆとりある暮らし」とは、どのようなイメージでしょうか。厚生労働省が発表した平成25年度の「児童がいる世帯」の平均所得金額は696万3,000円。この金額に加えて、家族旅行を楽しんだり、子どもに習い事をさせるお金があれば「ゆとりある暮らし」と言えそうです。
同調査では、生活意識に関するアンケートを実施しており、子どものいる世帯で自身の家庭について「ゆとりがある」と感じているのは、わずか3.8%。一方、「苦しい」と答えた世帯が67.4%にものぼり、「普通」という回答は28.8%でした。
家族旅行をしたり、子どもに習い事をさせたりしても十分な生活を送るためには、世帯所得はいくらあればよいのでしょうか。ある調査によると、家族旅行のトータル金額は1回につき10万円~15万円という層が最も多く、海外旅行の場合は金額が跳ね上がり、1回につき50万円程度になります。夏休みや冬休みなど、1年に2~3回旅行にいくことを考えると、国内旅行だとしても30万~45万円は旅行費に充てたいところです。
子どもの習い事に関する調査では、1カ月にかかる習い事の費用は1万3,661円が相場という結果に。しかし、実際には月謝以外にもキャンプやホームパーティなどにお金がかかるという声も多く、それらの金額を鑑みて、年間20万円程度あれば不自由なく習い事に通わせることができそうです。
実は、これらを考慮しても、「児童がいる世帯」の平均所得である696万3,000円の家庭では十分にゆとりある暮らしができるはずなのです。東京都の統計(平成27年10月調査)を参考にすると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯あたり31万6,285円。年間消費として計算すると約380万円。教育費は公立私立で差がありますが、公立の場合、幼稚園3年間で約66万、小学校6年間で約180万円、中学校3年間で138万円となります。
幼稚園の子どもが1人いる世帯と仮定した場合、生活費と教育費を合わせ、1年間で約402万円が消費支出となります。平均的な「児童がいる世帯」の所得金額より、それらを差し引くと年間約295万円の金額はゆとりがあるという計算になります。実際は、そこから毎月の貯金や家庭環境に応じて様々な支出があるため、一概にこの金額という訳ではありませんが、習い事などの金額を捻出することは可能であると考えられます。
しかし、先のアンケート結果では、家計が「苦しい」と感じている世帯が多いという結果でした。余裕を持つためにも、一定額の先取り貯金や、固定費の見直しを行うなど、日々の生活でできることを始めてみましょう。また、共働きで子育てもしている世帯では、お金だけでなく、心のゆとりがなくなってしまうこともあると思います。家事代行サービスを利用するなどして、心のゆとりを生むのもよいかもしれませんね。
※画像は本文と関係ありません。
○著者プロフィール
武田明日香
エフピーウーマン所属ファイナンシャル・プランナー
日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル! 」「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人を送るための知識を伝えている。
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(FPwoman)