大ヒットシリーズ「モンスターハンター」(モンハン)は、モンスターを仲間と一緒に狩るアクションゲームです。熱狂的なファンがいる一方、ネット上では、モンスターを倒す意味について考える声も投稿されています。「どうして敵を倒すのか、意味をまだ見い出せない」。そんな質問を、モンスターハンターシリーズのプロデューサーにぶつけてみました。
【写真】モンハン合コン「狩りコン」の現場 ゲーマー同士、一瞬で仲良しに?
最新作、発売2カ月で320万本
2004年に誕生したモンハン。最新シリーズ「モンスターハンタークロス」は、2015年12月にカプコンから発売され、発売2カ月あまりで320万本出荷されています。
モンスターを「狩る」というコンセプトが売りで、リアルな格闘シーンと、複数のプレイヤーが協力してモンスターを狩るプレイスタイルが特徴です。
ユーザー間のコミュニケーションを重視しており、その場でゲーム機を持ち寄って一緒に遊ぶ「ローカル通信」は、モンハンならでは楽しみ方として定着しています。今では、新シリーズが登場するたび「単位を落とす大学生が続出する」と言われるほどの人気ゲームになっています。
「なぜ狩るのか」深淵な質問
モンハンシリーズは、女性をはじめ熱狂的なファンを生み出しています。一方で、その存在感の大きさから、そもそもモンスターを狩ること自体に疑問を持つ人も現れています。
今年1月、あるツイートが話題を集めました。
それは、モンハンのゲームをスタートするにあたり「どうして敵を倒すのか、意味をまだ見い出せない」という問題提起をする投稿でした。
ツイートは、まとめサイトに転載され5千ツイートを超える反響がありました。投稿をきっかけに、「ちょっとわかる」「敵の定義って難しいな」「その目線は大切にしないといけない」など、様々な意見が飛び交いました。
ロングセラーのシリーズで、世界観が完成されたモンハンだからこそ出てきたかもしれない、この素朴な疑問。モンスターハンターシリーズのプロデューサー辻本良三さんにぶつけてみました。
「自給自足の生活を体験」
――なぜ、ハンターはモンスターを狩るんですか?
「深い問いかけですね……。まず、ゲームのテーマを説明させてください。モンハンは、ハンターライフを体験するゲームです。『ハンター生活を味わってもらう』というキャッチコピーを使っていた時期もありました」
――ハンターにとってモンスターとはどういう存在なのでしょう?
「例えば魚が必要なら釣りをします。それと同じく、モンスターの肉が必要なら自分で獲得するのがハンターです」
――必要があって狩りをしてると?
「いろいろな遊び方があると思いますが、自給自足の生活を体験する、というのがゲームの基本にあります」
「モンスターは『悪』でも『敵』でもない」
――モンスターを狩る意味まで考えてしまうなんて、モンハンならではの現象ですね
「アクションがメインのゲームですが、女性のファンが多いのが特徴です。単純に敵を倒すのではなく『狩る』というコンセプトを柱にしているので、殺伐とした世界観とは違う雰囲気を大事にしています。そんなゲームの特徴が、深い質問につながったのかもしれません」
――モンスターだからといって悪者ではない?
「はい、モンスターを『悪』と決めつけていませんし、『敵』でもありません。ゲームの目的は、あくまで狩りをするハンターの生活を体験することです」
――今年はRPGも出す予定ですね
「モンスターと生活を共にする『ライダー』が主人公です。『ハンター』とは違う視点でモンハンの世界を楽しむことができると思います」
――RPGの狙いは?
「俯瞰的にモンハンの世界を味わってもらいたいです。モンスターの生態系についても描く予定です。数が減っているモンスターとか、以前は出現しなかった場所に姿を見せるようになったモンスターとか。それらの謎を解いていく中で、モンスターを身近に感じてもらえたらうれしいです」