認知症の男性患者が徘徊中に電車にはねられ死亡した事故をめぐり、家族が鉄道会社への賠償責任を負うかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は1日、「家族に賠償責任はない」との初判断を示した。
民法では責任能力のない人が与えた損害は「監督義務者」が賠償する、と規定。子の事故で親の監督責任が問われることは多いが、認知症患者の家族の責任に関して最高裁まで争ったケースは初めてで、在宅介護の現場に影響を与えそうだ。
最高裁は判決で、男性の妻(93)に賠償を命じた二審判決を破棄、JR東海の請求を棄却した。JR東海の逆転敗訴が確定した。