「誕生日のパラドックス」という問題を耳にされたことがあるだろうか。「人が何人集まれば、同じ誕生日の人がいる確率が50%を超えるか」という問題について、人が普通に感じる直感と、実際の答えが異なるパラドックスのことである。
この問題を小学校で出題したとしよう。「40人学級のこのクラスのなかに、誕生日が同じ人がいると思う人は手を上げてください」と。おそらく手を上げる生徒はほとんどいないだろう。なぜなら、それが人間の直感だからだ。
しかし、正解から申し上げると、同じ誕生日の人がいる確率が50%を超えるのは、たった23人でよく、その確率は50.73%。さらに30人で70.63%になり、40人集まると89.12%にまで達する。
普通に考えると、23人のなかに同じ誕生日の人が50%超の確率で存在するというのは、意外な感じがするはずだ。なにせ1年は365日あるのだから……。ちなみに、この確率が100%になるのは366人(うるう年の場合は367人)のときである。
ただし、ここで注意していただきたいのは、誕生日が同じというのは、自分と同じ誕生日の人がいるという意味ではない点だ。もしも、そのケースであるならば、確率はもっと低くなる。あくまでもここでは、自分も含めて誰かと誰か、「少なくとも2人の誕生日が同じ」という意味なのだ。
もちろん、この確率は計算で導き出せる。このように「少なくとも2人の誕生日が同じ」という場合は、まず「全員の誕生日がすべて異なる確率」を求め、起こりうるすべての確率である「100%」から引く。そして、そこで出てきた差こそが「少なくとも2人の誕生日が同じ」の確率になる。
わかりやすいように、クラスの人数が4人の場合を想定して、実際に計算したものが図である。ここでは4人のうち、同じ誕生日の人が少なくとも2人いる確率を求めることになるわけだ。考え方としては、2人目から順番に、全員の誕生日がすべて異なる確率を求めて、それを100%から引く。
2人目が1人目と誕生日が異なる確率は「365分の364」。3人目が1人目、2人目と誕生日が異なる確率は「365分の363」。そして、4人目が1人目、2人目、3人目と誕生日が異なる確率は「365分の362」だ。となると4人の誕生日がすべて異なる確率は、各々を掛け合わせて百分率を求めると98.4%。結果、少なくとも2人の誕生日が同じ確率は「100-98.4≒ 1.6%」ということになる。確かに低い確率だ。
しかし、人数を増やして23人集まったときに、少なくとも2人の誕生日が同じ確率を計算すると50.73%となる。30人集まったときも、40人集まったときの計算も同じ方法で求められる。