アップル有利の流れに。
まだまだ続いているiPhoneロック解除問題で、司法の側からアップルへの援護射撃がありました。ニューヨークの麻薬関係の事件に関し、「司法省はアップルにiPhoneのアンロックを強制できない」という判断が下されたのです。
その判断を下したのは、ニューヨーク州地方裁判所のジェームズ・オレンスタイン判事です。彼は政府による全令状法(All Writs Act)の解釈を却下し、政府はアップルに対し、製品のセキュリティを弱めるようなソフトウェアの作成を強制できないと断じました。オレンスタイン氏は政府が全令状法を拡大解釈していると指摘し、そのせいで「もし適用されれば、全令状法の合憲性に疑義が生じる」として次のように言っています。
---------------------------------------USA Todayのブラッド・ヒース記者のTwitterによると、オレンスタイン氏は「不合理な」というか「道理に合わない」「むちゃくちゃ」といった意味合いの「Absurd」という言葉を少なくとも6回使い、強い調子で政府の姿勢を批判しています。
オレンスタイン氏はまた通信傍受支援法(Communications Assistance for Law Enforcement Act、CALEA)に関しても、政府よりアップルのほうがよく理解していると考えているようです。
---------------------------------------司法省は今も引き続き、アップルにiPhoneをロック解除を支援するようなソフトウェアを作らせようと試みています。この麻薬の事件だけじゃなくあちこちであちこちで、司法省は全令状法を根拠にiPhoneのロック解除を求めているんです。
オレンスタイン氏の裁定は政府にとってバッドニュースですが、問題はこれでは終わりません。アップルと司法省が争っているサンバーナーディーノの事件はテロと見なされているので、司法省側は「麻薬事件とは被害の規模も影響力もぜんぜん違う」という持ってき方をしてくるかもしれません。
ただ今回のニューヨークでの判断が、他のあらゆる件での全令状法の解釈に影響してくるかもしれません。弁護士でブルッキングス研究所のフェローであるスーザン・ヘネシー氏はTwitterでこう言っています。
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If district court agrees with Orenstein's analysis, that AWA read has widespread implications on government use of AWA in number of contexts
— Susan Hennessey (@Susan_Hennessey) 2016年2月29日---------------------------------------
米国自由人権協会の弁護士、アレックス・アブド氏も、「これは慎重に検討された学術的な意見だ。政府からのこうした要求を検討しているあらゆる裁判所にとって、ロードマップとなるはずだ」と声明でコメントしています。
裁定の全文は、以下で読めます。
source: Talking Points Memo
Kate Knibbs - Gizmodo US[原文]
(miho)