ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの『スーパーラグビー(SR)』の船出は、今後を期待させるに十分な80分となった。ご存知の通り、結果はライオンズに13-26とダブルスコアをマークされた。それでも、マーク・ハメットヘッドコーチ(HC)が「選手が100%戦えたのが一番の収穫。この短い期間でよくここまでできたなというのが率直な感想」と言えば、堀江翔太主将も「ライオンズはフィジカルが強く、何度もゲイン(ラックやモールなどが形成された地点)を切られたが、僕らは何度も戻って止めた。仲間を心強く思う」と振り返った。
南アフリカのライオンズは、一昨年まで下位争いを強いられていたが昨年は8位へ台頭。今季も国内最高峰の『カリーカップ』を全勝で駆け抜け、4年ぶりの優勝を手にした。今季、台風の目に挙げられる強豪だ。
ハメットHCが言うように、『SR』開幕戦に向けて、用意された時間は3週間強だった。しかも、ハメットHCの母親が急逝し、決戦直前の1週間は指揮官が不在となった。そもそも指揮官や選手は、まずお互いを知ることから始めなければならなかったのだ。毎年、数人のメンバーの入れ替えはあるものの、1996年の創立以来、チームの文化を育んできたライオンズとの経験値の差は歴然である。
しかし、ライオンズの司令塔エルトン・ヤンチースのキックの不調もあり、序盤は接戦となる。そればかりか、サンウルブズはペナルティになってしまったが、「トライか!?」というシーンを何度かつくり出した。後半にはそれまで蹂躙されていたスクラムで押し返し、適応力も見せ付けた。後半25分に司令塔トゥシ・ピシがシンビン(10分間の退場)となり、試合は終わったが、大敗も予想される中、見事な健闘だった。
「最初にサンウルブズにおめでとうと言いたい。彼らは今後素晴らしく発展していくだろう」(ヨハン・アッカルマンHC)、「短い期間で、HCが不在の期間がありながら、ここまでチームを仕上げてきたのは誇れること」(ワーレン・ホワイトリー主将)といった言葉も決して外交辞令ではない。
もちろん、選手たちに満足な色はない。記念すべき初トライを決めた堀江は「結果は非常に悔しい。いい試合で満足するのではなく、結果を残したい」と次を見据えた。指揮官も「SRのスピードには付いていっている。フィジカルコンタクトを修正したい」と課題を挙げた。
サンウルブズの挑戦はまだ始まったばかり。もう一度言おう。今後のサンウルブズに期待大だ!
サンウルブズの次の秩父宮ラグビー場での試合は3月19日(土)・レベルズ戦となる。レベルズ戦では来場者全員に特製タオルをプレゼント。チケット発売中。同じく秩父宮で開催される4月23日(土)・ジャガーズ戦、5月7日(土)・フォース戦のチケットは3月5日(土)昼12時より先行先着受付、3月12日(土)午前10時より一般発売。