第39回日本アカデミー賞授賞式が、3月4日にグランドプリンスホテル新高輪で開催。見事、最優秀主演女優賞に輝いたのは、過酷な役作りや肉体改造に挑んだ『百円の恋』の安藤サクラだった。また、2月20日に地方で転び、左手首橈骨骨折をしたという吉永小百合は、左手にギブスをして登場した。
名前を呼ばれた安藤は「びっくりして、何かじわじわと心臓が出てきそうな感じです」と、心から驚いていて、戸惑いを隠せない。「さっき冗談で、新井(浩文)くんが『ないと思うけど、獲ったら、うち泣いちゃうからね』と言っていたけど、全然泣いてない」と、共演の新井浩文に突っ込み、笑いを取った。
『百円の恋』は、不器用でどん底の生活を送っていた32歳の女(安藤サクラ)が、中年ボクサー(新井浩文)と出会い、ボクシングを通して変化していく姿を描く人間ドラマ。安藤は3ヶ月間ボクシングのトレーニングを積んだが、撮影期間はたった2週間というタイトなスケジュールだったと言う。安藤は「全部排泄してでもやってやるぞ!くそうと思いながら撮影しました」と、ド根性で臨んだらしい。
同作で優秀助演男優賞を受賞した新井は「登壇した助演陣のなかで、間違いなくいちばんギャラが安いと思う」と宣言したほど、低予算で撮った映画らしい。
安藤は、本作へのあふれる思いをこう語った。「思い出されるのは、クチコミでたくさん上映していただける映画館が増えていって、国内海外含めて、いろんなところへ舞台挨拶へ行ったこと。まさか!こんなことになってるよ!と、早く伝えたいです。観てくださったみなさんのおかげ。じわじわとエネルギーが伝わってきて、こんなところに来れるんだと。やったあ!」と大喜びだった。
ほかに、優秀主演女優賞を受賞したのは、『海街diary』の綾瀬はるか、 『映画 ビリギャル』の有村架純、『あん』の樹木希林、『母と暮せば』の吉永小百合の4名で、それぞれに喜びを語った。
また、囲みの会見で、安藤は「なぜ、私が、今ここに二宮くんと立っているのかなと」と、まだ実感がない様子。また「トロフィーを、実家に置くか、自宅に置くかで悩んでいる」とも語った。【取材・文/山崎伸子】